米GDP、第2四半期は前期比6.5%成長、「新型コロナ禍」前の水準を超える

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月30日

米国商務省が7月29日に発表した2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率6.5%となった(添付資料図参照)。市場コンセンサス予想(ダウ・ジョーンズ調べ)の8.4%を下回った。今回はGDPの遡及(そきゅう)改定が行われているが、実質GDPの水準は19兆3,582億ドルとなり、新型コロナウイルス禍前の水準(2019年10~12月期:19兆2,023億ドル)を超えた。

需要項目別にみると、前期比伸び率(年率)では、個人消費11.8%増、設備投資8.0%増など、前期に引き続いて全体を牽引した。前期はマイナスだった輸出も6.0%増と高い伸びを見せた。他方で、原材料の逼迫などを受けてか、設備投資のうち構築物が7.0%減となったほか、住宅投資も9.8%減となり、前期から一転して大きな減少を記録している。政府支出も「米国救済計画」の執行が一段落した影響もあり、1.5%減と前期の4.2%増からマイナスに転じている。物価については、個人消費支出デフレーターが6.1%増となり、前期からさらに伸びが拡大している(添付資料表参照)。

前期に引き続き高い伸びを見せた第2四半期のGDP成長率だが、市場コンセンサス予想を大きく下回る結果となった。バンクレートのシニアアナリスト、マーク・ハムリック氏は「サプライチェーンが正常に戻るにはほど遠く、変異株を含む新型コロナウイルス感染拡大の収束からもほど遠い」と述べている(「ニューヨーク・ポスト」紙電子版7月29日)。また、キャピタル・エコノミクスのチーフエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「経済が新型コロナウイルス感染拡大前の水準を超えたのは良いニュースだが、財政刺激策の効果が薄れ、インフレによる人々の購買力低下、米国南部でのデルタ株の動き、貯蓄率の想定以上の低下により、2021年下半期の成長率は年率3.5%まで鈍化すると予想している」と述べている(「CNBC」7月29日)。

(宮野慶太)

(米国)

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