電力不足は中国企業にも影響、第4四半期も電力逼迫が続く可能性も

(中国)

上海発

2021年10月05日

中国各地で企業に対する電力消費量の削減や操業制限などが行われており(2021年9月27日記事参照2021年9月30日記事参照2021年10月1日記事参照)、中国企業も生産停止などを発表している(添付資料表参照)。

電力不足について、厦門大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長は「石炭価格が値上がりする一方で、電力価格は政府によって低く抑えられている。発電量を増やすことで発電所の損失が大きくなるため、発電所はフル稼働していない」と述べた(「ニューヨーク・タイムズ」紙中国語版9月28日)。

今後の見通しや影響について、現地メディアの中国産業経済信息網は9月30日付記事で専門家の意見をまとめている。

中信証券の程強チーフアナリストは「政策上、エネルギーの消費管理がより重視されている。2021年上半期の工業生産が比較的活発だったため、エネルギー消費量は年初の削減目標を達成できない可能性があるが、工業生産が減少すれば、生産制限への圧力が弱まる可能性がある」とした。

招商証券の羅云峰チーフアナリストは「9月の電力制限の悪影響が経済指標に明確に表れる可能性がある。第3四半期(7~9月)のGDP成長率も影響を受け、経済への下方圧力が高まった」と指摘した。

国泰君安証券の董琦チーフエコノミストは「カーボンニュートラルの長期的な制約と第14次5カ年(2021~2025年)規画という明確な要件がある中で、エネルギー消費抑制への圧力が高まり、緩和は困難だろう」と予測した。

国盛証券の熊園チーフアナリストは「短期的にみれば、現在の政策は石炭価格の安定化と電力供給を強化し、エネルギー消費の抑制目標を達成すべくバランスが取れているかもしれないが、実際の効果は今後注視していく必要がある。第4四半期(10~12月)も消費需給はタイトな状態が続くと予想され、一部の地域では停電が増える可能性がある」と分析した。

華泰証券研究所の張継強副所長は「石炭や電力の不足を根本的に改善し、エネルギー消費管理政策をすぐに転換させることは困難だ。短期的なインフレ圧力は依然として高く、需要の高まりによる原材料価格の上昇と供給側の制約などの反動が重なり、川中の製造業は大きなコスト圧力に直面している」と指摘した。

(高橋大輔)

(中国)

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