9月の自動車販売は2割減、厳しい状況は当分続く見込み

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年10月12日

ロシアの自動車市場の回復が見通せない。在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)の発表(10月6日)によると、2021年第3四半期(7~9月)の新車乗用車および小型商用車の販売台数は前年同期比15.6%減(36万6,255台)と、前期(4~6月)の2.0倍(45万7,150台)からマイナスに大きく落ち込んだ。

2021年1~9月では、前年同期比15.1%増(126万111台)と2桁成長になったものの、これは2020年春の「新型コロナ禍」を理由とした非労働日の導入や外出禁止の発令(2020年4月3日記事参照)により自動車販売が急減し、2021年春に例年の水準に戻ったことが全体の数字を押し上げているにすぎない。単月の9月の新車販売台数は、前年同月比22.6%減(11万9,485台)と低迷している。

足元の落ち込みの要因については、上述のとおり「新型コロナ禍」による買い控えの反動を受け、2020年第3四半期ごろから販売台数が伸びたことで当期が相対的に下がったことに加え、AEB自動車製造者委員会のトーマス・シュテルツェル委員長は「生産の縮小や半導体不足のほか、原材料価格の高騰などの新たなリスク要因の出現」を指摘する。

ブランド別販売台数をみると、地場乗用車最大手アフトワズのラダ、起亜、現代が上位3位を占めた(添付資料表参照)。この順位はここ数年変わらない。特筆すべきは中国車の躍進だ(2021年8月19日付地域・分析レポート参照)。2021年第3四半期に奇瑞汽車(チェリー)が10位にランクインした(9,453台、前年同期比2.7倍)。そのほか、長城汽車のハバルが12位(8,818台、76.9%増)、吉利汽車(ジーリー)が13位(7,280台、38.9%増)につけた。

(島田憲成)

(ロシア)

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