英政府、15年前倒しで2035年までに電力システムを脱炭素化へ

(英国)

ロンドン発

2021年10月11日

英国政府は10月7日、2035年までに電力システムを脱炭素化する目標を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年12月に発表したエネルギー白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2020年12月18日記事参照)で掲げた2050年までに同目標を達成する計画を15年前倒しする。

政府は、この野心的な目標を実現するために、2020年11月に発表したグリーン産業革命のための10項目の計画(2020年11月20日記事参照)に基づいて、洋上風力、水素、太陽光、原子力、陸上風力、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)など、新世代の国産技術の導入に向けた取り組みを強化し、将来のクリーンな電力供給を確保する。

また、政府は、これらの技術が、英国の豊富な天然資源を利用して、よりクリーンで安価な電力を供給し、国内の新しい産業で何千もの高度な技術を必要とする新たな仕事を生み出すとしている。

政府は、住宅暖房の電化や電気自動車(EV)の普及などから電力需要は今後増加することを想定しており(エネルギー白書)、今回の発表では、電力システムの信頼性と電力価格を維持しながら電力需要を満たし、二酸化炭素の排出量を削減する必要があるとしている。

英国の電力システムの安全性と安定性を維持する上で、現時点ではガスが重要な役割を果たしているが、クリーンエネルギー技術の開発により、将来的には重要性が低下する。政府は、クリーンな電力システムの信頼性を確保するには、風力発電と太陽光発電の出力低下時に、原子力や電力システムに柔軟性(注1)を持たせる技術など、他のクリーン技術で出力の低下を補完する必要があるとしている。

英国の2020年の年間総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は43.1%で、再生可能エネルギーと原子力を合わせた低炭素電力の割合は59.3%に達している一方、ガス火力の割合は35.7%と、2035年までにどう削減するかが問われる。

政府は、英国のグラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に先立って発表する予定の「ネットゼロ戦略」を通じて詳細を発表するとしている。

クワシ・クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)相は「最近のガス価格の高騰は、英国のエネルギー安全保障を強化し、自立性を高め、長期的にエネルギー価格の高騰から(消費者の)家計を守るための方法が、国民向けに国内で生産されたクリーンな電力であることを示している」と、長期的には脱炭素の取り組みがガス価格高騰の対応策になることを述べた(2021年9月28日記事参照)。また、同相は10月4日、与党・保守党の党大会で「原子力は英国のソリューション(エネルギーミックス)の一部でなければならない」とし、ネットゼロ達成に向けた原子力の必要性を述べた。

(注)電力需給の瞬時の変動に応じて、電力供給や消費を調整する能力。

(宮口祐貴)

(英国)

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