華東地域の一部地域は年末まで電力制限続く可能性も

(中国)

上海発

2021年10月19日

中国各地で9月以降、地方政府などが企業に対して電力消費量の削減や操業制限を求めている(2021年9月27日記事参照2021年9月30日記事参照2021年10月1日記事参照)。国務院は電力安定供給に向けた取り組みを発表したが(2021年10月15日記事参照)、華東地域の一部では2021年末まで電力制限が続く可能性がある。

浙江省温州市が管轄する竜港市(注1)は10月8日、「2021年エネルギー消費のダブルコントロール(注2)を厳格に行動するための実施方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

実施方案では、9月から12月末を期限として4つの目標を定めている。

(1)第3四半期(10~12月)のエネルギー消費量は前年同期を上回らず、通年のGDP単位当たりのエネルギー消費量を3.1%以上低下させる。

(2)9月から12月の一定規模以上の工業企業のエネルギー消費量について、9月は1万7,800トン、10月は3万6,600トン、11月は6万600トン、12月は7万2,300トン(いずれも標準石炭トン)の範囲内とし、年間消費量は63万7,300トン未満とする。

(3)第3四半期の石炭消費量(華潤発電所の発電に使用する石炭を除く)は3万8,000トン以内とし、年間の石炭消費量は5万トン未満とする。

(4)9月から12月の社会全体の電力消費量について、9月は2億2,900万キロワット時(kwh)、10月は2億1,600万kwh、11月は2億1,900万kwh、12月は2億4,000万kwhに抑制し、年間総消費量は29億1,800万kwh未満とする。

これ以外にも分野別に電力消費の年間削減目標を定めており、前年に比べて公共機関分野は20%、商業分野は15%削減するとしている。また、同じく温州市が管轄する瑞安市でも9月3日、年末にかけてダブルコントロールを厳格に実施するための関連部局会議が開催された。

生産停止に応じない企業には罰則も

江蘇省泰興市が管轄する珊瑚鎮は9月14日、「エネルギー消費のダブルコントロールを厳格に行動するための実施方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。珊瑚実施方案によると、珊瑚鎮ではエネルギー消費量の多い企業に対して現地調査を実施し、製品の構造や生産量などからエネルギー消費が多い理由を分析する。また、ピークシフトやエネルギー消費のコントロールを厳格に実施し、合理的に企業の生産停止などを調整する(9月から10月にかけて企業に12日間の生産停止要請)。企業が要請された生産停止に応じず、許可なく生産していることが判明した場合は処罰するとしている。上記取り組みの期限は12月31日までで、年末にかけても電力制限により企業の生産活動に影響が出る可能性がある。

(注1)中国の市は、直轄市(北京市、上海市、天津市、重慶市)、地級市、県級市のいずれかに分類される。温州市は地級市、竜港市は温州市が管轄する県級市。

(注2)エネルギー消費量とGDP単位当たりのエネルギー消費量(エネルギー強度)のコントロール。

(高橋大輔)

(中国)

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