国務院、電力安定供給に向けた取り組み発表

(中国)

北京発

2021年10月15日

中国の国務院は10月8日に開催の常務会議で、今冬と来春の電力と石炭の安定供給に関する方針と措置を示した。各地方政府に対しては、企業への一方的な操業停止要求や制限の是正を求めた。

会議では、世界的なエネルギー関連価格の高騰により、電力や石炭の国内供給が不足し、一部地域で電力供給が制限されたことで、経済活動と住民生活に影響を及ぼしているとした。その上で、今冬から来春にかけての電力と石炭の供給確保は依然として大きな課題とし、エネルギー安定供給の重要性を強調した。

また、主要な石炭生産地(注1)と重点石炭企業に対して、要求に基づいて石炭の増産を行って供給責任を果たすこと、中央国有電力会社に対しては火力発電所を可能な限り稼働させること、送電事業者には電力の運行調節と安全管理を強化することを求めた。エネルギー供給を確保する責務を果たさなかった場合、厳しく責任を追及することも示した。

このほか、会議では、エネルギーの供給確保、産業やサプライチェーンの安定を保障するために以下の6つの措置を示した。

  1. 家庭用電力の安定供給を優先し、特に東北地域で発電用石炭を確保する。
  2. 石炭の安全生産を前提としつつ、増産能力のある炭坑は増産を推進し、生産を停止している炭坑は是正措置を取った上で早期の生産再開を促す。輸送機関は石炭の輸送を優先する。
  3. 石炭火力発電会社に対し、段階的な納税緩和措置や資金調達支援を通じて電力供給を増加させるようサポートする。
  4. 家庭、農業、公共事業用の電気料金の安定を前提としつつ、電力の市場取引価格について、上下の変動幅をそれぞれ現行の最大10%、15%からいずれも原則最大20%に調整する(注2)。なお、エネルギー消費の多い業種に対しては20%の変動上限を設けない。
  5. 大型の風力発電、太陽光発電基地の建設を推進するなど、緊急用予備電力供給源やピークシフト用電力供給源の建設を加速させる。
  6. 新規に増加させた再生可能エネルギーの消費量を一定期間内は総エネルギー消費量に算入しないこととする。石炭消費産業では石炭の節約利用を推進する。

(注1)国家統計局によると、2021年1~8月の石炭の生産量上位は山西省、内モンゴル自治区、陝西省、新疆ウイグル自治区、貴州省などとなっている。

(注2)電気料金の変動幅拡大などを盛り込んだ「石炭火力発電による電力卸売価格の市場化改革をさらに深化させる通知」が10月12日に国家発展改革委員会から公布された。

(趙薇)

(中国)

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