スーダン、軍が首相ら複数閣僚を拘束、暫定政府解消を発表

(スーダン)

カイロ発

2021年10月26日

スーダンで10月25日早朝、スーダン軍によるクーデターが発生し、アブダッラー・ハムドゥーク首相のほか、暫定政権の文官閣僚数人が拘束された。現地報道によると、アブドゥルファッターハ・ブルハーン国軍司令官は同日昼過ぎに声明を出し、暫定政権の解消を宣言した。また、情報省は、ハムドゥーク首相の監禁理由について、軍の行動に賛同しなかったためとしている。

スーダンは、2019年4月にオマル・バシール大統領が失脚した後、同年8月から暫定政権による軍民共同統治が行われており、民生移管プロセスの中にあった(2019年4月16日記事参照)。一方で、同国では、政権交代後も経済が好転しておらず、一部の国民の間で暫定政権に対する不満が蓄積しており、2021年9月21日には、バシール前大統領の勢力によるクーデター未遂事件(2021年10月4日記事参照)、10月16日には、軍主導の統治を求める市民らによる大規模デモが発生していた。

今回の事件発生後、国際社会は一斉にクーデターを非難。事件直後、アラブ連盟のアフマド・アブール・ゲイト事務局長は、合意された民生移管プロセスを無視した軍の行為に深い懸念を表明した。米国は、スーダン国内で緊張が高まる中、10月23日にジェフリー・フェルトマン特使が、ハムドゥーク首相、ブルハーン司令官と面談し、自制を求めていた。その直後に今回のクーデターが発生したことに対し、特使名で「民主化を渇望するスーダン国民に反しており、受け入れがたい」と非難した。

スーダンは、2020年に米国による「テロリスト支援国家」解除(2021年12月25日記事参照)後、国際機関による債務放棄、援助拡大が続いていた(2021年2月5日付地域・分析レポート参照)が、支援国との関係が悪化した場合、さらなる経済悪化につながることが懸念される。

(福山豊和)

(スーダン)

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