スーダンでクーデター未遂事件が発生

(スーダン、エジプト)

カイロ発

2021年10月04日

民政移管の実現に向けて軍民共同で統治が行われているスーダン(2019年4月16日記事参照)で、9月21日早朝にクーデター未遂事件が発生し、スーダン国軍(SAF)がこれを阻止したことを発表した〔9月21日付スーダン国営ニュース(SUNA)〕。

アブダッラー・ハムドゥーク首相は同日に緊急演説を行い、今回の計画は2019年にクーデターで崩壊した前政権とつながりのある軍人や支持者らが民政移管プロセスを妨害するために行ったと非難した。2020年10月の暫定政府と反政府勢力間の和平合意以降、東部ではこれに反対するデモがたびたび発生してきたが、今回も事前に主要幹線道路や貿易港が封鎖されるなど、反政府勢力による扇動行為が非常に周到な計画で実行されていると指摘している。その上で、今回の事件はスーダンが国家的な危機にあることを示すとして、民政移管の実現に安全保障の枠組みと軍事機構改革が必要と訴えた。

今回の事件をめぐって、共同統治を行う軍と政治家の間でも非難の応酬が繰り広げられている。9月22日にアブドゥルファッターハ・ブルハーン主権評議会議長兼SAF司令官は、今回のクーデターを阻止したのは軍であり、軍への敬意と感謝の念が欠如しているとして、政治家らを批判した。その上で、政治家が権力争いに気を取られた結果として政策の失敗を引き起こし、国民の不満が高まっていると指摘した。これに対して、ハーリド・オマル総務相は軍の発言について「移行期における直接の脅威」と表現し、「治安状況が軍の責任であることを忘れている」と批判した。

なお、在スーダン日本大使館は、スーダン暫定政府に対する反対勢力が多く居住している同国東部への渡航は見合わせるよう呼びかけている。

(齊木隆太朗、福山豊和)

(スーダン、エジプト)

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