フランス、アルジェリアとモロッコの断交で両国に対話呼び掛け

(フランス、アルジェリア、モロッコ)

パリ発

2021年09月02日

アルジェリア政府によるモロッコとの国交断絶の発表(2021年8月31日記事参照)を受けて、フランス外務省は8月25日のプレス会見で「フランスにとって両国は友好国であり、重要なパートナーだ。フランスは当然、地域の安定と繁栄を確固なものにするために、域内諸国間の関係と対話を深めることに引き続き取り組む」と述べた。

「レゼコー」紙(8月28日)と「フランスインフォ」紙(8月25日)は、パリ第一大学のマグレブ現代史の権威ピエール・ベルムラン教授を取材し、今回の断交の原因と今後の影響を分析している。同教授はアルジェリアがモロッコとの断交に踏み切った理由について、西サハラ問題やモロッコのイスラエルとの国交正常化に加え、アルジェリアの国内問題もあると指摘している。政治の世代交代を求める反体制民主化運動「ヒラック」や、「新型コロナ禍」による経済・社会不安問題などで、国民の不満は高まっており、政府が反モロッコによるナショナリズムと反イスラエルによるアラブ主義を高揚させることで、国民の目を外に向けようとしているとの見方を示した。

外交面では、今回のアルジェリアの決定を過去60年来の紆余(うよ)曲折の歴史の一部とする見方がある。これまでに両国は1976年に断交し、1988年に国交回復、1994年に国境を閉鎖して現在に至っている。陸路は分断されているものの、空路は引き続き開いており、経済的にもインフォーマルながら交流は続いている。ベルムラン教授は、断交後も両国のつながりは継続し、これ以上に関係が悪化する可能性は低いとの考えを示している。

一方、「フィガロ」紙は26日、イスラエルとの関係をめぐり、モロッコとアルジェリアが2つのポジションを代表するかたちで地域の政治的な二極化が生まれると指摘をしている。チュニジアでも政治不安が続く中(2021年7月28日記事参照)、マグレブの両国間の不和は地域の不安定を助長し、サヘル地域の治安問題にも影響を与えることもあり得ると分析している。

(渡辺智子)

(フランス、アルジェリア、モロッコ)

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