ロシア、上半期の動画配信市場は24%拡大

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年08月23日

ロシアのオンライン動画配信市場が順調に拡大を続けている。調査会社テレコムデイリー(8月16日)によると、2021年上半期のロシアのオンライン動画配信市場規模は前年同期比23.9%増の219億1,900万ルーブル(約307億円、1ルーブル=約1.4円)に達した(添付資料図参照)。「新型コロナウイルス禍」による「巣ごもり需要」を受けた2020年上半期(前年同期比55.7%増)(2020年9月7日記事参照)ほどの伸びではないが、安定した成長を維持している。

ビジネスモデル別にみると、課金制が大きく伸びている。課金制動画配信の市場規模は前年同期比30.2%増の178億4,400万ルーブルに達した。他方で、広告付き動画配信の市場規模は2.3%増の40億7,500万ルーブルにとどまった。

企業間の競争は激化している。2021年上半期の企業別売上高シェア上位5社は、ivi(24.0%)、キノポイスクHD(14.1%)、Okko(12.4%)、ネットフリックス(8.9%)、ユーチューブ(7.9%)となった(添付資料表参照)。特筆すべきはキノポイスクHDで、2019年のシェアは3%、2020年は8%だったところ、14.1%に急拡大し2位に躍り出た。2021年上半期に配信が始まった同社オリジナル番組が人気を博し、シェアを押し上げた(「テレスプートニク」8月12日)。2020年下半期に急激な成長を遂げて上位に食い込んだ米国大手ネットフリックス(2021年3月12日記事参照)は、2021年上半期も4位を堅持した。2020年に2位だったOkkoは3位に順位を下げた。

オンライン動画配信市場の発展は、家電業界にも影響を与えているようだ。家電小売りチェーン大手のMビデオ・エルドラドの調べによると、オンライン動画ニーズの高まりを背景に、2021年上半期のロシア国内のスマートテレビ総販売台数は210万台となり、テレビ全体の販売の70%以上を占めるに至った(2016年は約40%)。テレコムデイリーのデニス・クスコフ社長は「新型コロナ禍」および動画配信サービスの拡充によって「在宅中は好きな映像作品を、好きな時間に、より大画面で楽しみたいというユーザーの欲求が高まった」と述べ、消費者の生活様式やニーズの変化を指摘する(「ベドモスチ」紙7月30日)。

(一瀬友太)

(ロシア)

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