入国規制を強化、全入国者に新型コロナ陰性証明書の提示義務導入

(ドイツ)

ベルリン発

2021年08月05日

ドイツ連邦政府は7月30日、新型コロナウイルス入国規制にかかる政令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を改定し、8月1日から施行した。これまで新型コロナ検査の陰性証明書(注1)の提示は、空路によるドイツ入国者のみ義務付けていたが、今回の改定により、陸路と海路による入国者にも拡大し、全ての入国者に陰性証明書の提示義務を課することになった。ただし、12歳未満と、ワクチン接種証明書(注2)または回復証明書(注3)を所持する場合は、一部の例外を除いて不要となる。なお、陸路による入国に際しては、国境での渋滞を回避するため、全ての入国者ではなく、無作為に各種証明書の提示を求める。本措置は12月31日まで適用する。

また、感染状況に応じて3種類に区分していたリスク地域(2021年2月2日記事参照)を変更した。「その他のリスク地域」を廃止し、「ハイリスク地域」と「変異株まん延地域」の2種類となった(注4)。

さらに、上述の陰性証明書の提示に加え、リスク地域からの入国に際しては、電子入国登録と入国後の自主隔離措置を義務付ける(添付資料表参照)。リスク地域の分類ごとに自主隔離期間は異なる。「ハイリスク地域」からの入国者でワクチン接種証明書または回復証明書を所持する場合は自主隔離を免除する。本措置は9月30日まで適用する。

感染第4波を警戒、ワクチン接種率向上が課題

ドイツでは、2020年12月27日からワクチン接種を開始し(2020年12月23日記事参照)、8月3日時点のワクチン接種完了者は全人口の53.0%に達したが、接種率は伸び悩んでいる。一方で、ロベルト・コッホ研究所は、18歳から59歳までの接種率が85%、60歳以上が90%で集団免疫が獲得されるとしており、ワクチン接種のさらなる推進が課題となっている。秋冬の感染第4波を警戒し、予防接種センターでの12歳から17歳までのワクチン接種の本格化と、9月以降の医療従事者や高齢者などに対する3回目の接種を行う計画など、対策を強化する動きが進んでいる。

(注1)ドイツ入国前48時間以内に実施した抗原検査、または入国前72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書。「変異株まん延地域」からの入国の場合には、入国前24時間以内に実施した抗原検査、または入国前72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書。

(注2)外務省海外安全ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、日本の市町村が発行する海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書はドイツ入国時に使用が可能。

(注3)PCR検査で陽性が判明し、その後28日~6カ月であることを証明する物理的または電子的形式の証明書(2021年5月12日記事参照)。

(注4)リスク地域指定はロベルト・コッホ研究所が随時更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(中村容子)

(ドイツ)

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