GMシラオ工場の労働権侵害問題による再投票で労働協約が否決

(メキシコ)

メキシコ発

2021年08月30日

米国ゼネラルモーターズ(GM)のメキシコ・シラオ工場で8月17~18日、雇用者との労働協約を承認するための従業員による投票が行われ、賛成2,623票、反対3,214票で否決された。同投票は、改正労働法(2019年5月7日記事参照)、および米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の関連規定に基づき、同工場の労働者が加入する労働組合(通称「ミゲル・トゥルヒージョ・ロペス労働組合」)が雇用主(GMメキシコ)との間で締結している労働協約を「適法化」(2019年8月5日記事参照)するプロセスの一環で行われたものだ。反対票(54.7%)が賛成票(44.6%)を上回ったことにより、15年間にわたってGMシラオ工場の労働組合として機能してきた同組合との既存の労働協約が無効になった。

GMと組合が結んでいた既存の労働協約の承認投票はもともと、改正労働法に基づく労働協約適法化の一環として2021年4月20~21日に実施されていた。しかし、その過程で法規違反があり民主的に投票が行われなかった疑いがあるとして、メキシコ労働社会保障省(STPS)が調査を行い、5月11日に同組合に対し投票のやり直しを命じていた。そして、その翌日の5月12日には米国通商代表部(USTR)が、USMCAが定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRLM)」に基づき、メキシコに政府に対して本件の事実確認を要請した(2021年5月14日記事参照)。その後、USMCA発効1周年で3カ国の閣僚がメキシコ市に集まった機会を捉えるかたちで、米・メキシコ両政府は7月8日にRRLMに基づく本件の是正措置を共同で発表した(2021年7月12日記事参照)。是正措置に基づき、今回の投票はSTPSや国家選挙庁(INE)に加え、ILOから派遣された委員の厳格な監視の下で実施された。

ミゲル・トゥルヒージョ・ロペス労働組合は、8月19日付の声明で「労働当局によるイレギュラーな対応があった」と訴えているが、8月25日にILOがSTPSに提出した投票プロセスを評価する報告書について、ルイサ・マリア・アルカルデ労働社会保障相が、ガイ・ライダーILO事務局長と電話会談を行い「民主的で透明性の確保された投票だった」という見解で一致したと報じられている(「ミレニオ」電子版8月26日)ことから、このまま終結を迎えそうだ。

メキシコ政府、トリドネックス案件については権利侵害なしとの見解

他方、GMシラオ工場案件に続いて、RRLMに基づいて調査が行われた北東部タマウリパス州マタモロス市にある自動車部品メーカー、トリドネックス(Tridonex)の工場における労働権侵害の疑いに関しては、8月10日にUSTRから同社に対して改善策が示されている(2021年8月12日記事参照)が、メキシコ経済省は同日付のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、調査の結果、労働権侵害はなかったとしている。経済省のルス・マリア・デラ・モラ次官は「調査対象の事案は、USMCA発効前に起こった件で、経済省の見解では労働権侵害に該当する事実はない」と記者会見で説明し、「USTRが発表した改善策は、トリドネックスとの合意によるもので、USMCAに基づくプロセスによるものではない」と述べている。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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