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GMメキシコ工場の労働権侵害めぐり、政府間で改善策に合意

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2021年07月12日

米国とメキシコの両政府は7月8日、メキシコ・グアナファト州にあるゼネラルモーターズ(GM)シラオ工場での労働権侵害をめぐり、メキシコ政府による是正措置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が2020年7月に発効して以降、「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRLM)」に基づく、初めての是正措置となる。

メキシコは、改正連邦労働法(2019年5月施行)に基づき、施行から4年以内に、雇用者との労働協約を従業員の投票により承認する「適法化」プロセスの実施を事業者に義務付けている。GMシラオ工場では、この「適法化」プロセスに向けた投票で不正行為や投票妨害があったとして、5月12日に米国政府がRRLMに基づく事実確認を要請し、メキシコ政府も調査を進めていた(2021年5月14日記事参照)。

是正措置として、8月20日までにGM工場で再度投票が行われる〔米国通商代表部(USTR)ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。投票に際しては、立会人となるメキシコ労働社会保障省(STPS)の査察官の数を前回4月投票時の6人から32人に増やし(政治専門誌「ポリティコ」7月8日)、妨害の防止や従業員への聴取などに努めるほか、ILOやメキシコ国家選挙庁(INE)からも監視員が派遣される。GMも投票時の中立を示し、投票後の報復を一切容認しない方針を取る。米政府は措置の実施を注視し、状況が改善しない場合はさらなる是正措置を講じるとしている。RRLMに基づくパネルが認めれば、是正措置にはUSMCAの特恵関税の停止や罰則の賦課があり得る。GMシラオ工場は、シボレーやGMCといったブランドのピックアップトラック〔米国側の最恵国(MFN)税率25%〕を製造している。

米議会は肯定的な評価、国内からはメキシコの取り組み強化を求める声

今回の発表を受け、米下院のアール・ブルメナウアー貿易小委員長(民主党、オレゴン州)らはバイデン政権の対応を称賛するとともに、「労働者は組合をつくる権利がある。それを妨げる動きは認めない」と述べた。USTRのタイ代表は、USMCAの完全な執行が「貿易を底辺への競争にしないことで、現地労働者だけでなく米労働者の支えとなる」として、メキシコ政府の迅速な対応を評価する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。USMCAは発効から1年が経ち、北米3カ国が協定の実施状況などに関する閣僚級協議を開催している(2021年7月9日記事参照)。

USMCAの労働規律の履行を監視する米国の審議会(注)は、メキシコの労働協約の多くが従業員による十分な内容確認が行われずに署名されていると指摘している。これが低賃金や劣悪な労働環境を助長しているとして、政府監督の下での「適法化」プロセスに向けた取り組みなどを促している。

(注)米国はUSMCA実施法731条に基づき、メキシコによる労働法の履行状況を監視する目的で「独立したメキシコ労働専門家審議会」(政権・議会指名の12人で構成、任期6年)を設置している。同審議会は2020年12月に初となる報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を行っている。

(藪恭兵)

(米国、メキシコ)

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