上半期の中古車取引台数は前年同期比52.9%増

(中国)

中国北アジア課

2021年08月10日

中国自動車流通協会が8月2日に発表したデータによると、2021年上半期(1~6月)の中古自動車の取引台数は、前年同期比52.9%増の843万台だった。2019年同期との比較では、22.9%増だった。

内訳をみると、セダンが約6割を占め前年同期比56.7%増の511万台、次にスポーツ用多目的車(SUV)が68.5%増の91万台(構成比10.8%)だった。

価格帯は、3万元(約51万円、1元=約17円)以下の割合が最も多く全体の34.1%を占め、3万~5万元(23.6%)、5万~8万元(15.4%)、8万~12万元(11.0%)と続いた。

なお、6月単月の取引台数は、前年同月比24.7%増の153万台だった。

中国における新車販売と中古車取引台数の推移をみると、新車販売台数は2017年の2,888万台をピークに以降3年連続で減少している(添付資料図参照)。一方、中古車取引台数は、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年を除き、増加を続けている。新車販売台数に対する中古車取引台数の比率も上昇傾向にあり、2021年上半期には65.4%に達した。なお、日本では中古車販売台数が新車販売台数を上回っている(注)。

2021年通年の中古車取引台数について、中国自動車流通協会の羅磊針副秘書長は、1,600万台に達する可能性があるとの見方を示した(「中国経済網」7月29日)。

増値税の引き下げや取引制限の撤廃など政策も後押しに

2016年の第12期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の政府活動報告で、李克強首相は中古車市場の活性化について言及した。これを皮切りに、中古車移転登録の制限撤廃が進められるなど、各方面の政策もこれを後押ししている。

最近では、2020年4月に財政部が、中古車販売業者が中古車を販売する際に適用される増値税率について、2%から0.5%に引き下げるとの公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(対象期間は2020年5月から2023年末まで)。また、2021年4月には、商務部など3部門が、小型・超小型の非営業用中古車の省をまたぐ取引登記を加速・推進する通知を発表(2021年5月6日記事参照)。さらに、商務部が7月8日に発表した「第14次5カ年(2021~2015年)規画の商務発展規画」においても、強力な国内市場の形成促進に向けた取り組み方針の中で、中古車取引の促進および廃車回収システムの整備を進める旨が明記された(2021年7月20日記事参照)。

中国政府も中古車取引の活性化に向けた政策方針を明確に打ち出す中、中古車取引市場のさらなる活性化が見込まれる。

(注)日本自動車工業会「2020 日本の自動車工業」によると、2019年の日本の四輪新車販売台数は520万台、四輪中古車販売台数は699万台。

(小林伶)

(中国)

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