省をまたぐ中古車取引、天津・上海など20都市で6月から開始

(中国)

北京発

2021年05月06日

中国の商務部など3部門は4月19日、「中古車の省をまたぐ取引登記の推進および中古車の外地取引の利便性向上に関する通知」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。小型・超小型の非営業用中古車(以下「小型非営業用中古車」、注1)の省をまたぐ取引登記を加速・推進し、中古車取引の利便性を高めることで、全国統一市場の形成を加速する。

通知によると、既に登記された「小型非営業用中古車」について、これまで制限されていた省などの行政区画をまたぐ取引が可能となり、売り主と買い主は、車両の原登記地(以下「転出地」)または買い主の住所地(以下「転入地」)のいずれかを選択して中古車の取引を行うこととなる。転出地、転入地以外の第三地に所在する中古車取引市場経営者、中古車販売代理企業、中古車競売企業を介した取引は行うことができない。なお、転入地で中古車取引を行う場合、取引を処理する中古車取引市場経営者、中古車販売代理企業、中古車競売企業は、中古車の買い主の身分証明に記載された住所地と転入地が一致していることを確認しなければならない。

また、中古車の移転登記の手続きも簡素化される。「小型非営業用中古車」については、転出地または転入地で移転登記を処理することができ、登記用の資料はこれまで書面での提出が必要だったが、電子ファイルでの提出が可能となる。転入地で取引を行う場合には、中古車の買い主が転入地の公安機関の交通管理部門に移転登記の処理を申請すれば済む。購入した中古車を、転出地に運んで車両検査を行う必要はない。

通知は2021年6月1日から、天津市、山西省太原市、遼寧省瀋陽市、上海市など20都市で試験的に実施される。その後、2021年9月1日からは、全ての直轄市、省都、自治区の区都(区政府所在地)などに拡大され、2022年には全国で全面的に実施される。

新車購入を後押しすることから、近年、中古車流通の規制緩和が行われている(注2)。2020年4月28日に国家発展改革委員会などが発表した「自動車消費の安定的拡大のための若干の措置に関する通知」には、中古車販売に関する制限をなくし、関連制度を整備することが盛り込まれた。また、国務院弁公庁は4月15日、「中古車流通管理弁法」の改正作業を加速し、各地に存在する中古車移転に関する違法な制限を撤廃するとしている(「証券時報」4月15日)。

(注1)「非営業用中古車」とは、自動車検査証の「使用性質」の欄に「非営業用」と記載される中古車を指す。自家用車、社用車などが該当する。

(注2)商務部の発表によると、中国汽車流通協会の統計に基づく2020年の中古車取引台数は前年比3.9%減の1,434万1,000台。また、国家統計局によると、2020年末時点の自動車保有台数は約2億8,087万台となっている。

(趙薇)

(中国)

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