牛肉輸出制限措置で国内生産が減少、価格抑制につながらず

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年08月26日

アルゼンチン食肉および食肉加工品商工会議所(CICCRA)は8月12日、7月の月次報告書を発表した。報告書によると、7月の牛と畜頭数は106万頭で、前月比4.1%減少、前年同月比では14.3%減少した。2021年5月の牛肉の輸出制限措置の影響を受けたとみられる(2021年5月10日記事および2021年5月20日記事参照)。国内生産が減少した結果、牛肉の国内価格の上昇は止まらず、国内の牛肉消費量も減少している。

CICCRAは「7月末で今年5月20日に牛肉の輸出が制限されてから70日が経過したが、輸出制限措置は国内の牛肉価格とインフレ抑制を目的としていたにもかかわらず、食肉業界の予想どおり、価格高騰の解決策になっていないのが現状だ(2021年6月25日記事参照)」とし、「7月の牛肉の小売価格は前月比で0.9%から2.0%の減少とわずかに下落したものの、今年4月から7月までの累計では13.2%上昇した」と分析した。

7月の国内の1人当たり牛肉消費量(年間換算)は47.5キロと、前年同月の50.3キロから5.6%減少した。また、2009年7月の69.6キロからは31.8%の大幅な減少となっている。牛肉価格の上昇により、消費者の牛肉離れが進んでいる。

また、牛肉の輸出は、2021年5月に前年同月比3.8%増の2億6,780万ドルを記録したが、6月は1億6,000万ドルで前年同月比24.6%減、前月比40.3%減少しており、輸出規制の影響を強く受けている。

8月6日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)によると、農業団体などは、2021年末まで継続する予定の牛肉輸出制限措置の早期撤廃を政府側に求め続けている。ブエノスアイレス州およびラ・パンパ州の農業団体(CARBAP)は「輸出を制限する政策は過去に失敗しており、今回も失敗する。両州の主要産業である食肉産業を阻害するだけだ」と述べている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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