アルゼンチン政府、穀物や肉類の輸出の監視を強化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年05月10日

アルゼンチン農牧水産省は4月19日、穀物、肉類、乳製品の輸出の監視を強化する新たな情報登録措置を導入すると発表した。また、翌20日には、肉類およびその調製品の輸出に際して新たに「肉類輸出の宣誓供述書(DJEC)」の提出も義務付けると発表した。同省によると、前者は「事業の正規化、透明性の確保と管理の強化」を、後者は「国内市場で起こり得る食肉の供給、価格、品質面での不均衡な状況の回避」および「不正や過少申告などの防止による輸出取引の透明化」を目的としている。しかし、政府はかねて「輸出が国内への供給を阻害し、物価の上昇につながっている」と主張しており、インフレの抑制を狙い、監視を強化したとみられている。

いずれも、2018年から施行されている「アグリビジネスチェーン事業者登録(RUCA、注)」を通じて手続きを行う。これら措置の詳細は、4月19日付農牧水産省決議第60/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび4月20日付農牧水産省・工業生産・開発省共同決議第3/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに定められている。主な内容は以下のとおり。

穀物類、肉類、乳製品輸出の新たな情報登録措置(農牧水産省決議第60/2021号)では、RUCAに登録済み、または新規登録を行う輸出業者は以下の追加情報の提出が義務付けられる。

  • 取引に利用している銀行口座情報の詳細、最近6カ月間の取引、銀行からの融資
  • 1年先に輸出する予定の製品、その量、取引先、輸出先などの計画
  • 従業員の情報、契約している労災保険の情報、従業員の給与の振込先銀行の情報
  • 法人の場合は最新の承認済み会計報告、個人や株主の場合は資産情報など
  • 前年度に輸出取引を行った場合、外貨を国内に入金した証明書

肉類およびその調製品の輸出(農牧水産省・工業生産・開発省共同決議第3/2021号)では、RUCAに登録済みの食肉輸出業者は、DJECの提出が義務付けられる。

  • 対象品目は、生鮮または冷凍の牛肉、豚肉、羊肉、ヤギ肉、馬肉、鶏肉の輸出取引
  • 提出が求められるのは、出荷時期、輸出業者情報、製品情報、輸出量、FOB価格、輸出先の詳細情報など

今回の措置は、保護主義的な政策を敷いたクリスティーナ・フェルナンデス政権下の2008年から2015年にかけて、農産品輸出を規制した「輸出登録制度(ROE)」に酷似する。当時、管轄当局だった国家農牧取引監督機構(ONCCA)では、輸出許可取得のための不正や汚職疑惑が多発し、同機構の解体を余儀なくされている。

国内の農業関連団体などは「ROEにより国内生産が落ち込み、貧困の拡大などの社会問題をもたらした」と指摘。現在、主要穀物の国際価格が2013年以来の高値に達している中、今回の措置導入に不満の声が上がっている。政府の目的は加速し続けるインフレ(2021年4月20日記事参照)の抑制とみられるが、農業団体は「生産と輸出を再び低下させる逆効果の政策」と警鐘を鳴らす。また、「今回求めている情報も公共歳入連邦管理庁(AFIP)、税関、中央銀行など、さまざまな関連当局に適宜提出されるもの」とし、「重複する手続き」だと指摘している(現地紙「インフォバエ」電子版4月19日)。

(注)RUCAは2017年の農産業省決議第21E/2017号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき制定された乳製品、穀物類、牧畜・食肉、羊毛、マテ茶など、加工や取引に関連する業者が登録される制度。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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