ASEAN日本人商工会議所連合会、ASEAN事務総長との対話実施

(ASEAN、日本)

バンコク発

2021年07月08日

ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA、注)の井上聡一議長(ベトナム日本商工会議所会頭)は7月7日、リム・ジョクホイASEAN事務総長とオンライン上で対話を行った。日本側からは、ASEAN日本政府代表部の千葉明大使、東アジア・ASEAN経済研究センター (ERIA)の西村英俊事務総長、ジェトロの佐々木伸彦理事長が出席した。ASEAN進出日系企業の現状や抱える課題、ASEANの経済・社会に貢献する取り組みなどをASEAN側に伝えた。FJCCIAとASEAN事務総長との対話の実施は2年ぶり13回目となる。

井上議長は、ASEANが達成を目指す包括的復興枠組み(ACRF、2021年5月26日地域・分析レポート参照)に従って、1.ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性最大化、2.包括的なデジタルトランスフォーメーション、3.より持続可能で強靭(きょうじん)な未来の3点について、要望や協力を提言した。また、近年、ベトナムやシンガポールなどで外国人駐在員の査証や労働の認可が厳格化される現状(2021年6月29日記事参照)を伝え、「将来的な投資や技術移転の減退につながる」として、ASEAN事務局から各国への働きかけを訴えた。

その他の日本人商工会議所は以下のような事項を提言した。

  • カンボジア日本人商工会(神田陽悟会長):メコン地域の陸上輸送の活性化と連結性の向上。カンボジア・タイ国境(ストゥンボット~バンノンイアン)第2ゲートの早期開設。
  • ジャカルタ・ジャパン・クラブ(近造卓二理事長): 非関税措置の削減、医薬品などの流通促進、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)改定議定書の早期発効。
  • フィリピン日本人商工会議所(松永啓一会頭):手続き簡素化による一層の自由貿易協定(FTA)支援・促進。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定発効後、運用上の問題点をフィードバックする手段や事務局機能の充実。
  • バンコク日本人商工会議所(日高和郎会頭):ASEANによる自由貿易推進の動きへの期待、ASEAN共通でのワクチンパスポート制度や相互認証制度の導入。

ジェトロは、感染症対策によるサプライチェーンへの影響を最小限に抑えることを要望するとともに、強靭化に向けて協力していくことを表明した。

日本側の提案・要望に対して、リムASEAN事務総長は「FJCCIAの具体的な意見を関係閣僚などに提案し、今後もフォローアップしていく」と回答した。

(注)FJCCIAはASEAN10カ国のうち9カ国10組織の日本人商工会議所で構成し、2021年6月現在の会員数は7,332社に達する連合組織。2008年から年に1回、ASEAN事務総長と対話を続けていたが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により対話を見送り、緊急提言のみ実施していた。

(北見創)

(ASEAN、日本)

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