米USTR、ベトナムとの為替合意を歓迎、追加関税は見送り

(米国、ベトナム、タイ、韓国、台湾)

ニューヨーク発

2021年07月27日

米国通商代表部(USTR)は7月19日、米財務省とベトナム国家銀行がベトナムの為替政策に関する合意(2021年7月21日記事参照)に達したことについて、歓迎する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。USTRのキャサリン・タイ代表は「ベトナムは、為替レートをファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と整合させることで、インド太平洋地域に対して重要な例を示すことができる」と述べている。

USTRは今回の合意を受け、1974年通商法301条に基づくベトナムへの対抗措置を見送ることを23日に正式に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トランプ前政権は、ベトナムの為替政策を米国の商業の妨げと認定しつつ、同国政府との協議を続けるとして、追加関税などの対抗措置を保留していた(2021年1月21日記事参照)。バイデン政権がその後の対応を明らかにせず、301条の適用期限(注1)が迫る中、米産業界は適用検討の中止を求める書簡を同政権に送付していた。ベトナムの対米輸出額は約782億ドル(2020年)で、国・地域別で第6位となっている。主な輸出品では電気機器(HS85類)や家具(HS94類)、衣類(HS61類)が多い。なお、USTRは301条の手続きに基づき、ベトナム側の履行状況を監視するとしている。

他方、米商務省は7月19日、1930年関税法に基づきベトナムによる通貨の過小評価を根拠として、同国からの自動車用タイヤ輸入に対して、6.23~7.89%の相殺関税を課す行政命令を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年11月にも仮決定していた(2020年11月11日記事参照)が、政権交代後も判断が維持されている。このほか、自動車用タイヤ輸入をめぐっては、全米鉄鋼労働組合(USW)などが調査を申請し、タイやベトナム、韓国、台湾に対するアンチダンピング税が別途課されている(2021年1月19日記事参照、注2)。

(注1)USTRは、301条に関わる調査を開始した2020年10月から12カ月以内に対抗措置に関する決定を行う必要がある。

(注2)2020年12月に関税賦課の仮決定が行われた後、商務省が5月に最終決定を発表している。最終決定における国・地域別のアンチダンピング税率は米国際貿易委員会(ITC)ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(藪恭兵)

(米国、ベトナム、タイ、韓国、台湾)

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