バイデン米政権、ミャンマーの国軍関係者22人、企業4社を制裁対象に指定
(米国、ミャンマー)
ニューヨーク発
2021年07月05日
バイデン米国政権は7月2日、ミャンマーの国軍関係者22人を財務省の特別指定国民(SDN)に指定するとともに、ミャンマーに所在する企業4社を輸出管理規則(EAR)におけるエンティティー・リスト(EL)に追加すると発表した。
財務省によると、SDNに指定した22人のうち、3人は2月のクーデター時に発足した国家統治評議会(SAC)のメンバーで、国軍政府の閣僚4人(情報相、投資・対外経済関係相、労働・入国管理・人口相、社会福祉・救済・復興相)も入る。残る15人はSACを含む国軍関係者の親族とされる。財務省は、今回の措置について国軍の収益源を標的にした制裁措置、と説明している。今回の追加により、米国が2月以降にSDNに指定したのは、国軍関係者54人、1政府機関、国軍部隊2部隊、企業14社となる(添付資料参照)。SDNに指定された場合、在米資産の凍結や、米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。
商務省・産業安全保障局(BIS)も7月2日に、ミャンマーに所在する4社のエンティティー・リスト(EL)追加を発表した。国軍に衛星通信サービスを提供するキング・ロイヤル・テクノロジーズおよび銅採掘事業を手掛けるワンバオ(万宝)鉱業と関連会社2社が、7月6日の官報公示以降、ELに掲載される。ワンバオ鉱業については、3月に制裁指定を受けたミャンマー経済公社との収益配分を通じて国軍を援助したとされ、また鉱山における人権侵害の疑いもある。ELに掲載された場合、BISの輸出管理規則(EAR)対象の米国製品(物品・ソフトウエア・技術)について、(再・みなし)輸出時に必要な事前許可手続きが「原則不許可(presumption of denial)」になる(注3)。
アントニー・ブリンケン国務長官は声明の中で、ミャンマー国軍に対して、暴力の即時停止や平和解決に向けた対話の開始など、4月末のASEAN首脳級会議で合意された5項目(2021年4月27日記事参照)の実行・協力を呼び掛けている。
(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。
(注2)SDN指定を受けた個人が直接・間接的に50%以上を所有する事業体も同じく制裁の対象。ただし、財務省が3月25日に発行した4種類の一般許可(General License)に該当する取引・活動は、それらが指定する要件の下で認められる(2021年3月26日記事参照)。
(注3)これまで米政府が制裁対象に指定した個人・企業などについては、米財務省外国資産管理局(OFAC)のデータベースで、Country欄においてBurmaを選択し、Searchをクリックすることで確認が可能。
(藪恭兵)
(米国、ミャンマー)
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