ASEAN首脳級会議を開催、ミャンマーへの特使派遣など5項目を発表

(ASEAN、ミャンマー、インドネシア、シンガポール)

ジャカルタ発

2021年04月27日

ASEAN首脳級会議が4月24日、インドネシア・ジャカルタのASEAN事務局において対面形式で開催され、直近のミャンマー情勢などについて協議が行われた。発表された議長声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、ASEANの特使をミャンマーに派遣して国内対話を促すなど、5項目で合意に至った。

今回の会議は、インドネシアなどが開催に向けて積極的に動いていた(2021年3月30日記事参照)。ミャンマーからは、ミンアウンライン国軍司令官兼国家統治評議会議長が参加した。タイ、ラオス、フィリピンは国内事情などにより外相が特使として参加し、その他の国は首脳が出席した。会議では、ミャンマー情勢や「新型コロナウイルス禍」からの経済回復などについて議論が行われた。議長声明では、ミャンマー情勢について「深刻な懸念」が表明された一方、国軍によって政治的に拘束された人々の解放については、「解放を望む声がある」との記載にとどまり、合意には至らなかった。なお、議長声明によると、今回の会合で合意に至った5項目は以下のとおり。

  1. ミャンマーにおける暴力行為を即時停止し、全ての関係者が最大限の自制を行う。
  2. ミャンマー国民の利益の観点から、平和的解決策を模索するための関係者間での建設的な対話を開始する。
  3. ASEAN議長の特使が、対話プロセスの仲介を行い、ASEAN事務総長がそれを補佐する。
  4. ASEANはASEAN防災人道支援調整センター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(AHAセンター)を通じ、人道的支援を行う。
  5. 特使と代表団はミャンマーを訪問し、全ての関係者と面談を行う。

会議後の記者会見で、ジョコ・ウィドド大統領は「暴力が停止され、民主主義、安定、そして平和が一刻も早くミャンマーに戻ってこなければならない」とし、「ミャンマーの国軍トップがそれを実行することが重要だ」と述べた(インドネシア大統領府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます4月24日)。シンガポールのリー・シェンロン首相は会議後、「司令官は、ASEANが建設的な役割を果たし、特使を派遣することに反対しなかった」とする一方で、「暴力を停止し政治的に拘束された人を解放する、と言うことと、実行することは別物だ」と話し、事態の解決は容易ではないという見方を示した(チャンネル・ニュース・アジア4月24日)。

(上野渉)

(ASEAN、ミャンマー、インドネシア、シンガポール)

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