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欧州産業界、欧州委の気候変動対策パッケージに賛意や不満を表明

(EU)

ブリュッセル発

2021年07月20日

欧州委員会が7月14日に発表した温室効果ガス(GHG)排出削減のための政策パッケージ「Fit for 55」(2021年7月15日記事参照)に対して、EUのさまざまな産業団体から賛意のほか、注文や不満なども相次いだ(注)。

EU排出量取引制度(EU ETS)をはじめとするカーボンプライシングの諸制度については、欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は、「Fit for 55」で提示された内容では「人為的に炭素価格を引き上げ、二酸化炭素(CO2)排出削減への取り組みに必要な資金を減らす」とし、EU ETS改正案(2021年7月16日記事参照)と炭素国境調整メカニズム(CBAM)設置規則案(2021年7月16日記事参照)について、低炭素関連の投資を妨げるリスクがあり、不十分だと不満を示した。また、欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIM)はCBAMについて、同業界の製品が対象となっていないことを歓迎したが、原材料価格にCBAMの間接的な影響が及ぶ可能性に危惧を示した。

エネルギー使用関連の改正(2021年7月20日記事参照)については、ORGALIMは、再生可能エネルギー指令の改正案に冷暖房や運輸、各部門で再生エネルギーの利用を推進し、廃熱などの利用を推奨する措置が盛り込まれたことなどを歓迎した。また、欧州化学工業連盟(Cefic)は、脱炭素化へ向けて産業部門の電化を加速させるために、十分な量の再生可能・低炭素エネルギーをできるだけ早期に活用できるようにすることを求め、欧州委が、同業界が積極的に取り組んでいるクリーン水素の利用推進を提案したことを歓迎した。Ceficはほかに、革新的な技術開発への投資を促すため、EU ETSの収益の全てを温室効果ガス(GHG)排出削減につながる経済活動に還元する必要がある、と指摘し、EU ETSの収益を利用する「イノベーション基金」の拡充や、低炭素で循環型の鉄鋼や基礎化学品などを支援するための「炭素差額決済(Carbon Contracts for Difference)」などの導入を提案したことを歓迎した。

運輸・モビリティ分野では、欧州の大手航空会社を代表する協会エアラインズ・フォー・ヨーロッパ(A4E)は、EU ETS改正案では欧州経済領域(EEA)内の航空便に対する無償割り当ての段階的廃止などで航空会社の負担増が予想されることや、エネルギー課税の見直しによって航空運賃の高騰や欧州航空業界の競争力の低下を招く恐れがあり、適切に設計されていない課税制度はGHG排出削減にはつながらない、と批判。コスト負担増ではなく、同業界が既に取り組む機体からの排出削減のための技術開発への投資や持続可能な航空燃料の展開(2021年7月12日記事参照)が必要だとした。

欧州自動車部品工業会(CLEPA)は、欧州自動車工業会(ACEA)と同様に(2021年7月16日記事参照)、2035年以降、内燃機関搭載車の生産を実質的に禁止する方針が示されたことを批判し、再生可能エネルギーの利用を考慮に入れていない、と反発した。また、電気自動車(EV)の普及を脱炭素化の唯一の手段として推し進めることは、中小企業が多い部品業界にとっては特に雇用に対する影響が大きいと訴え、労働者への技能研修などを提供し、「誰も取り残さない」強力な社会政策枠組みが必要だとした。

(注)各団体の発表は、EUROFER(7月15日付)を除き、7月14日付。

(滝澤祥子)

(EU)

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