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欧州の航空会社協会、持続可能な燃料の普及に向け、EUへ提言

(EU)

ブリュッセル発

2021年07月12日

欧州の大手航空会社を代表する協会エアラインズ・フォー・ヨーロッパ(A4E)は7月6日、欧州における持続可能な航空燃料(SAF)の生産と展開に関するポジション・ペーパー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。A4Eを含む欧州航空部門5団体は2月、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロ達成を実現するためのイニシアチブを立ち上げ、(1)航空機・エンジン技術の改良、CO2排出量が少ない水素航空機などへの転換、(2)欧州排出権取引制度(​EU−ETS)などの施策の活用、(3)「単一欧州空域(SES)(2020年10月1日記事参照)」関連措置の完全実施や地上オペレーションの改善、とともに、(4)SAFの導入促進を重点4分野としている。

2011年に、欧州初のSAFを搭載した商業フライトが実現して以降、欧州委員会や産業界はSAFに関する取り組みを続けてきたが、欧州委は2020年、欧州グリーン・ディールの一環として、EU域内でのSAFの生産と普及を目指す「ReFuelEU Aviation」というイニシアチブを立ち上げた。航空会社などに一定のSAFの使用を義務付けること、公的なオークションを開催し、最も安価な価格を提示するSAF生産者の供給を一定期間確保すること、SAFの普及状況をモニタリングするなどの政策オプションの導入を検討し、既に影響評価、公開諮問(パブリックコンサルテーション)を実施して、法制化に向けて動いている。

コストと生産施設不足が課題、包括的な支援が必要と主張

A4Eは、非可食部バイオマスを原料とする次世代バイオ燃料と合成燃料を活用し、2050年までに燃料使用の83%をSAFで賄えると見積もる。だが、課題となるのは、通常のジェット燃料の少なくとも3倍とされるコストや、現時点で継続してSAFが生産できる工場が米国にしかなく、欧州でSAFが生産できるバイオ燃料生産設備においてはいまだ大量生産に不向きなバッチ式であることなどだ。A4Eは今回のポジション・ペーパーにおいても、SAFの普及のためにはEU域内産の原材料の活用と域内生産量の増加を優先事項として挙げた。日本でも、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が2021年6月、それぞれ初の国産SAF搭載フライトを実施したと発表したが、SAFの実用化には、原料も含め国内での生産拡大へ向けた研究開発を継続して行う必要がある。A4EはEUに対して、(1)長期的な研究開発への支援を可能とする政策枠組みの策定、(2)再生可能エネルギー指令の改正などSAFの普及につながる適切な規制の制定、(3)原材料の生産への支援、(4)技術の研究段階から国際規格の取得まで、段階が異なる各種開発事業への一貫した支援体制づくり、(5)国際的に公正な競争環境を維持するため、市場条件が整った段階でのSAF使用割合の義務化などを提言した。

(滝澤祥子)

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