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EU理事会、新たな貿易対抗措置を認める国際調達措置規則案で合意

(EU)

ブリュッセル発

2021年06月10日

EU理事会(閣僚理事会)は6月2日、国際調達措置(IPI)規則案に関して、EU加盟国間で合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IPI規則案は政府調達に関して、EU企業と域外国企業との間の公平な競争条件の確保とともに、域外国での政府調達の市場アクセス拡大に向けたEUの交渉力強化を目的としている。また、域外国がEU企業による政府調達へのアクセスを十分に認めない場合に、当該国企業によるEU側政府調達へのアクセス制限を可能にするものだ。

背景には、EU側の政府調達の大部分は域外国企業に開かれているが、多くの域外国では政府調達で国内企業の優遇措置として、EU企業の参入を明示的にまたは事実上制限しており、EU企業が不利益を被っているとの意識がEU側にはある。EUはこれまでも、WTOの政府調達に関する協定(GPA)や、政府調達の規定を含む2国間の自由貿易協定(FTA)などの締結を通じて、域外国との市場アクセスの不均衡の是正に取り組んできたが、EUが政府調達を一方的に開放していることから、交渉は難航してきた。

欧州委員会は2012年と2016年にIPI規則案を提案したが、実施には加盟国当局の負担増や、規則案の保護主義的な側面、域外国での市場アクセス拡大への実質的な有効性を疑問視する一部加盟国の反対により、審議が頓挫していた。しかし、近年のEUの通商政策はEUの利益擁護を前面に出す姿勢を明確にしており(2021年2月19日記事参照)、中国などの新興国による保護主義的な政策への正当な対抗手段(2019年3月13日記事参照)としてのIPIの必要性も共有されたことから、加盟国間での合意に至った。

域外国企業に対する制限措置だけでなく、排除も可能に

今回のEU理事会案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、欧州委が2016年に提案したIPI規則案を修正するものだ。欧州委は域外国の政府調達における措置を調査し、当該国と協議の上、制限的な措置の有無を判断する。

欧州委は当該措置を制限的と認定する場合に、一定額以上の政府調達への当該国企業からの入札に対して、落札企業の選定における「スコア調節措置」として、総合評価落札方式ではマイナス評価を、自動落札方式では入札額への上乗せを、当該国での制限レベルに比例させるかたちで一定程度課すことができる。また、例外的な措置として、当該企業を入札から排除することもできる。このほか、こうした制限・排除措置の迂回(うかい)防止策、企業の所属国の判断基準、後発開発途上国や中小企業への適用除外も含まれる。

今回のEU理事会案は適用範囲について、EUが締約国となっているGPAや、日EU経済連携協定(EPA)などEUが締結する2国間協定で開放している範囲を除くとしていることから、日本企業への直接的な影響は限定的とみられる。

IPI規則案の成立に向けて、欧州議会でも審議を進めて議会案を決定後、夏以降をめどにEU理事会と欧州議会の協議に移る予定だ。

(吉沼啓介)

(EU)

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