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欧州委、EUの利益擁護を前面に打ち出す通商戦略を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年02月19日

欧州委員会は2月18日、「開放性」「持続可能性」「EUの利益の擁護」を柱とする新たな通商戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EU経済の強みは単一市場内外の貿易への開放性であることから、今後も通商政策においては開放性を重視しつつ、持続可能な貿易に関しても単にそれを推進するだけでなく、通商政策の中心的な位置付けに格上げするとした。また近年、EUが掲げる「開かれた戦略的自律性(open strategic autonomy)」を反映し、多国間主義に基づく体制を支持するとしながらも、EUの利益を積極的に擁護する姿勢を明確に打ち出した。今後、通商政策において重視する分野として、以下の6つを挙げている。

  • WTO改革:WTOの紛争処理制度の最終審に当たる上級委員会の機能停止状態を解消し、WTOルールを現実に即したかたちで改定する(注)。
  • 環境対応型への移行と持続可能なバリューチェーンの推進:気候変動を含む環境対策はEUの最優先事項で、WTOにおいて環境や持続可能性に関するイニシアチブを推進する。EUの通商協定に含まれる環境や労働基準の順守などを規定する「貿易および持続可能な開発(TSD)」章を活用し、協定相手国でのEUの再生可能エネルギー企業の市場アクセスの拡大や、原材料の確保を目指す。今後のEUの通商協定において、気候変動に関するパリ協定の順守を、TSD章の一要素から協定全体の必須要素への格上げを提案する。欧州委が現在導入を検討する炭素国境調整メカニズムなどを念頭に、環境や倫理の観点から、EUへの輸入品に特定の生産工程の要件を課すことを正当とする。
  • デジタル化への移行とサービス貿易の推進:デジタル化も通商政策の優先事項で、デジタル規格の策定や、データ保護などの規制、WTOにおけるデジタル貿易に関するルール作りにおいて、EUは引き続き主導権を握るべき。データ保護やプライバシーの観点から、EU域外へのデータ移転に関して規制を課す用意がある。
  • EU規制の影響力の強化:EU規制が持つ世界的な影響力はEUの強みで、EUの規制アプローチを積極的に世界に広める。
  • 近隣諸国やアフリカとの関係を強化する。
  • 通商協定の実施・執行を強化し、公平な競争条件の確保:通商協定で規定された市場アクセスや持続可能性へのコミットメントが適切に実施されているか、積極的に監督する。WTOにおける紛争処理制度に依存しない対抗措置実施法(2021年2月16日記事参照)のように、EU企業を不当な貿易慣行から守るための法的手段を提案する。

(注)WTO改革に関しては、付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に詳細な方針を解説している。

(吉沼啓介)

(EU)

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