英国がミャンマー国有宝飾企業を制裁対象に追加、新規則施行後で初

(英国、ミャンマー)

ロンドン発

2021年05月19日

ミャンマー国軍による権力掌握をめぐり、英国外務・英連邦・開発省(FCDO)は5月17日、ミャンマーの宝飾産業に支配的な影響を持つ国有企業のミャンマー・ジェムズ・エンタープライズ(MGE)を制裁対象に追加し、即日施行した。金融制裁執行局(OFSI)は同日、今回の金融制裁に関する通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表。先に制裁対象とした国軍幹部らへの金融制裁(2021年2月22日記事3月1日記事参照)と同様に、MGEの口座や資金などに関係する法人・個人に対し、口座や資金の凍結、OFSIへの関連情報の提供などを義務付けた。

FCDOは今回の決定の理由に、MGEが軍事政権の支配下にあり、政権と国軍の資金源となっていることなどを挙げている。英国政府は4月29日に、EUから継承していた「2019年ビルマ(制裁)(EU離脱)規則」を置き換える「2021年ミャンマー(制裁)規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を施行しており、MGEは施行後初めての制裁対象追加となった。同規則は、制裁リストに登録された個人・法人への金融・渡航制裁のほか、ミャンマーへの軍需品やデュアルユース品の輸出、技術供与、仲介などを禁止する貿易制裁も規定している。

MGEの制裁対象追加に先立ち、英国政府は3月25日にミャンマー経済ホールディングス(MEHL)、4月1日にミャンマー経済公社(MEC)を対象に追加。この2社は「2020年世界人権制裁規則」に基づく制裁で、MGEの金融制裁と同様の制裁が科されている。

英国のミャンマー制裁の対象は、両規則合わせて24人、3法人となった。FCDOは同国制裁で米国やカナダと歩調を合わせるとしており、先行する米国(2021年5月19日記事参照)を追随するかたちで、制裁対象がさらに拡大する可能性もある。

(宮崎拓)

(英国、ミャンマー)

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