英国がミャンマー国軍幹部6人を制裁リストに追加、国軍傘下企業との取引停止も徹底へ

(英国、ミャンマー)

ロンドン発

2021年03月01日

ミャンマー国軍による権力掌握をめぐり、英国政府は2月25日、ミャンマーでの人権侵害を監督する職務を担っていたことを理由に、新たにミンアウンライン国軍総司令官兼国家統治評議会議長ら国軍幹部6人を金融・渡航制裁の対象に追加した。2月18日の国軍幹部3人の制裁リスト追加(2021年2月22日記事参照)に続くもので、前回の制裁が国軍と警察による人権侵害に直接的な職責にある3人を対象にしたのに対し、今回は国軍の権力掌握後に設置された軍政最高機関である国家統治評議会に照準を定めた。今回の追加措置で、同評議会の国軍出身メンバー全員が制裁対象となった(注)。

金融制裁執行局(OFSI)は同日、今回の金融制裁に関する通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表。前回と同様に、対象者の口座や資金、その他経済資源に関係する法人・個人に対し、口座や資金の凍結、OFSIへの関連情報の提供などを義務付けた。ドミニク・ラーブ外相は2月25日の声明で、今回の追加制裁について「ミャンマー軍事政権に対し、人権侵害の責任を取らせ、ミャンマー市民によって選ばれた政府に統治権限を返還すべきだという明確なメッセージだ」と述べるとともに、他国と連携して軍事政権への圧力を継続する考えを示している。

英国政府は今回の追加制裁に加え、ミャンマーとの貿易振興政策を停止する考えも公表。国際通商省(DIT)が主導して、在ミャンマー英国企業が国軍傘下の企業と取引を行わないよう徹底する。ミャンマーにとって英国は8番目の輸出相手国で、最大の輸出品の衣類では、英国は4番目の輸出先(いずれも2019年)。英国の大幅な輸入超過で、2020年の英国の対ミャンマー輸入は2億6,854万ポンド(約400億円、1ポンド=約149円)で、うち衣類が4分の3を占めている(添付資料表参照)。

(注)ミンアウンライン国軍総司令官とソーウィン国軍副司令官は、2020年7月6日から英国の「世界人権」に関する金融制裁リストに登録されており、ミンアウンライン国軍総司令官の今回の登録は、「ミャンマー」に関する金融制裁リストへの重複登録。両制度を合わせ、英国の金融制裁の対象となるミャンマー人は、これで24人になった。

(宮崎拓、杉田舞希)

(英国、ミャンマー)

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