2021/2022年度予算案、さらなる経済回復を目指す

(オーストラリア)

シドニー発

2021年05月13日

オーストラリアのジョシュ・フライデンバーグ財務相は5月11日、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。予算案に盛り込んだ経済支援策によって、失業率は2022年後半までに5%を下回り、実質GDP成長率は2021年に5.25%まで上昇するとの見通しを示した。

予算案のうち、ビジネスや雇用に関する主な施策は以下のとおり。

  • 売上高が50億オーストラリア・ドル(約4,250億円、豪ドル、1豪ドル=約85円)までの企業に対する資産の即時原価償却制度と欠損金の繰り戻し制度(2020年10月8日記事参照)を1年間延長するほか、中小企業に対する法人税率を25%に引き下げる。
  • 「職業訓練(JobTrainer)」支援策(2020年7月17日記事参照)を延長し、卒業者や求職者への無料または低価格の訓練コースを2022年12月末まで提供するほか、見習いや研修生雇用に対する賃金の50%補助制度への登録を2022年3月末まで受け付ける。
  • 今後10年間で1,100億豪ドルを支出するインフラ投資計画に対して、152億豪ドルを拠出し、各州の主要なインフラ整備事業を支援する。
  • デジタル経済戦略として、デジタル技術の習得や人工知能(AI)の開発、電子行政サービスの強化、消費者データ権(2019年8月30日記事参照)の展開促進、サイバーセキュリティー対策の強化などに約12億豪ドルを投じ、2030年までにデジタル経済の主導的な立場となることを目指す。
  • 医療やバイオテクノロジーに関する特許から生じた所得に対する法人税率を17%に引き下げる「パテントボックス」制度を2022年7月までに創設し、将来的にはクリーンエネルギー分野にも対象を拡大する。
  • 農業の生産性向上やバイオセキュリティー対策を強化し、2030年までに農業生産額1,000億豪ドルを目指す。
  • 低排出技術関連プロジェクトへの投資によって温室効果ガスの排出削減を目指す(2021年4月23日記事参照)。

新型コロナウイルス関連では、ワクチン接種を加速するために19億豪ドルを拠出するほか、航空、観光、芸術、国際教育など大きく影響を受けた産業を支援する。家計への支援では、低・中所得者に対する個人所得税減税の延長や、住宅購入や育児への支援を拡充する。

(住裕美)

(オーストラリア)

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