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消費者データ権関連法案を可決、オープンバンキングの実現目指す

(オーストラリア)

シドニー発

2019年08月30日

オーストラリア議会は8月1日、消費者データ権(CDR)に関する法案を可決した。消費者データ権とは、企業が保有する個人情報へ安全にアクセスする権利を消費者に付与するもので、目的に応じて自身の情報を第三者へ提供することも選択できる。これにより、第三者が銀行などから取得した情報に基づき、消費者のニーズに沿って製品やサービスをカスタマイズすることが可能となる。市場競争の促進とともに、データ活用による新たなビジネスの創出が期待される。

この新制度については、銀行を対象とした「オープンバンキング」(注1)を推進するために、EUで2015年に成立した改正決済サービス指令(PSD2:Payment Service Directive 2)(注2)などを参考に、2017年から検討が進められていた。しかし、今回の制度は銀行以外の業界への適用も見据え、包括的な内容となった。銀行やエネルギー、通信の各業界へ導入され、その後、他の業界への展開が予定されている。

オープンバンキングの推進に当たっては、主要4銀行を中心に段階的な導入が計画されている。まずはクレジットカード、デビットカード、預金口座、取引口座のデータへ、その後2020年2月までに住宅ローンのデータへ、第三者がアクセスすることを可能にする予定だ。その他の銀行は1年遅れで対応する。消費者は自身の消費行動データを、分析・比較ツールを提供する第三者へ提供することで、より自分に合ったサービスを選択することが可能となる。また、データへのアクセスが向上することによって、新規事業者の参入障壁を減らすとともに、支出行動分析などのデータを活用した新しいサービスの提供や、財務管理や会計ソフトウエアなどの既存サービスの改善が期待される。

オーストラリア国内では、データ駆動型のイノベーションを歓迎する一方で、個人情報の取り扱いに関するリスクを懸念する声も上がっている。

(注1)顧客の同意の下で、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)の連携などを通じて、銀行が本来保有する顧客データへフィンテック企業などの第三者がアクセスすることを可能にする仕組み。

(注2)日本の総務省「PDS・情報銀行・データポータビリティに関わる国際動向」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、「域内の銀行や電子マネー事業者などに対して、免許・登録やセキュリティーなどの要件を満たした決済指図伝達サービス提供者(PISP:Payment Initiation Service Provider、利用者の依頼により金融機関の決済口座に決済情報を伝達するサービス)および口座情報サービス提供者(AISP:Account Information Service Provider、さまざまな金融機関に分散する利用者の決済情報を集約するサービス)と呼ばれる第三者サービスとのAPI(Application Programming Interface)接続を義務付けている」制度。

(住裕美)

(オーストラリア)

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