中国からの特許出願が大幅増加、OGP制度は韓国企業が積極利用

(香港)

香港発

2021年05月07日

香港知識産権署(HKIPD)はこのほど、2020年の特許・商標・意匠の国籍別出願・付与件数を公表した。

このうち、標準専利制度(再登録特許制度)に基づく出願は、74カ国からの2万1,302件(前年比28.9%増)となり、新型コロナウイルスや社会情勢の変化にかかわらず2017年から増加傾向が続いている。うち、中国本土からの出願が6,624件(約4倍)と著しく増加し、2019年に国・地域別で最多だった米国(6,437件、4.5%増)を初めて上回った。一方、スイス(909件、4.6%減)、ドイツ(831件、2.9%減)、英国(604件、16.1%減)などの欧州諸国および日本(1,181件、17.6%減)からの出願はいずれも減少した。

出願企業の内訳をみると、2021年5月3日時点でHKIPDデータベース上に公開された2020年の標準専利出願2万491件のうち、テンセントによる出願が3,999件と最多となり、2019年に最多だったアリババ(ケイマン諸島籍)(1,068件)を抜いて1位になった。テンセントの出願内容は、ブロックチェーン、仮想現実(VR)、音声や画像データ処理に関するものが多くを占める。

2019年12月19日に導入された新たな特許制度「原授標準専利制度〔original grant patent(OGP)system〕」(2019年12月23日記事参照)に基づく出願は16カ国からの254件となり、制度開始時のHKIPDによる予測件数の100~200件を超えた。同制度を利用した出願人の国・地域別の割合では、韓国が44%、香港が37%、中国本土が8%、米国が3%、日本が2%を占めた。上記データベース上に公開された2020年のOGP出願は167件で、そのうち韓国大手EC(電子商取引)企業クーパンによる出願が107件で最多だった。HKIPDの黄福來署長によれば、2022年にOGP制度に基づく初めての特許権を付与する予定とのことだ(「香港経済日報」2021年2月8日)。

なお、2020年の商標出願は3万3,708件(前年比8.8%減)と2019年から引き続き減少し、意匠出願も2,015件(21.8%減)、意匠数で3,878項(22.0%減)となり、近年の横ばい状態から大幅な減少に転じた。これは、長期的視点に基づく出願活動である特許とは異なり、新型コロナ禍などによる一時的な景気後退(2020年11月18日記事参照)の影響を直接受けたものとみられる。

(ユミ・ラム)

(香港)

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