半導体不足、タイの自動車生産への影響に懸念

(タイ、インドネシア、韓国)

ジャカルタ発

2021年04月22日

世界的な半導体の供給不足が、米国、中国、欧州などの自動車生産に影響を与えている(2021年3月17日18日22日記事参照)。東南アジアに関しては、現地報道や企業へのヒアリングから、インドネシアで短期的な影響がみられない一方、タイでは一部生産調整の動きが出ている状況といえる。

ジェトロがインドネシアの日系自動車部品メーカーに対しヒアリングを行ったところ、「現時点で当地の日系自動車メーカーにおいて半導体の供給問題に関わる稼働調整の話は出ていない」とのコメントがあった。さらに「当社については、現在は在庫を使いながら供給を続けており、すぐに供給に支障が生じるという状況にはない」とする一方、「現状の世界的な半導体不足の長期化、さらに火災で生産が止まっていた日本の大手半導体メーカーの復旧が遅れると、今後の供給に影響が出てくる可能性ある」と懸念を示した。また、現地紙によると、韓国の現代自動車も、同国における生産拠点の蔚山(ウルサン)工場において、半導体不足により一時的に生産を停止したが、同社インドネシア法人「現代自動車インドネシア」最高執行責任者(COO)のマクムール氏は「今年前半までは、調達に関して影響はないと考えている」とコメントしている(「コンパス」紙4月12日)。

他方、タイについては、一部の日系メーカーがタイ工場を含む生産拠点で4月中の減産を発表し、5月以降の生産体制については、半導体の供給状況に応じると報じられている(「バンコクポスト」紙4月12日)。また、ジェトロがタイの日系自動車部品メーカーにヒアリングを行ったところ、半導体不足に加え、コンテナ不足などにより業界に影響が出ているとのことだった。

(注)自国生産による物品輸出で、再輸出を除く。

(上野渉)

(タイ、インドネシア、韓国)

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