日・コートジボワール投資協定が発効、アフリカでは4カ国目に

(日本、コートジボワール)

国際経済課

2021年04月20日

日本とコートジボワールの間で新たな投資協定が発効外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。投資協定は締約国間で外国投資の保護と投資の自由化を約束する国際協定だ(注1)。コートジボワールは近年高い経済成長率を維持し、西アフリカの物流拠点として同地域の経済を牽引している。コートジボワールに進出を検討する日系企業には、本協定の下で自由で安定した投資環境が約束される。

本協定は2020年1月に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされ、日本は同年5月に国内手続きを完了していた(2020年6月1日記事参照)。2021年2月24日にコートジボワール側から国内手続きの完了についての通告があり、協定は3月26日に発効した。

本協定の主な規定とその内容は以下のとおり。

  • 第2条:内国民待遇(自国の企業に与えている待遇よりも不利でない待遇を与えること)
  • 第3条:最恵国待遇(第三国の企業に与えている待遇よりも不利でない待遇を与えること)
  • 第4条:一般的待遇〔公正衡平待遇(適正な手続きを行う義務、恣意的措置の禁止、投資家の正当な期待の保護など)、十分な保護および保障〕
  • 第6条:特定措置の履行要求の禁止(役員国籍要求、技術移転要求、ロイヤリティー規制の禁止など計13項目)
  • 第11条:収用および補償(補償を伴わない収用の禁止)
  • 第14条:資金の移転(海外送金の自由など)
  • 第23条:国家対投資家の紛争解決手続き

日・コートジボワール投資協定はいわゆる「自由化型」の投資協定だ。上記の規定は既存の投資活動(投資参入後の段階)のみならず、投資財産の設立、取得または拡張といった投資参入前の段階にも適用される。よって、同国に新たに進出する日系企業は、現地法人の設立や事業許認可の取得などの場面で、同協定で約束された投資保護や自由化のメリットを受けられる。

ただし、締約国は付属書(留保表)で列挙した分野・措置について、2条、3条、6条の適用を除外することができる点(ネガティブ・リスト)には注意が必要だ(第7条)。今回、コートジボワールは、石油業、鉱業、一部の土地所有、航空運輸業、農業・漁業、情報通信業などを自由化約束の対象から外している。

日本政府は3月に発表した政府資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、新たな投資関連協定の締結先として中南米やアフリカを中心に検討する方針を示している。日本はこれまでアフリカ諸国では、エジプト、モザンビーク、ケニアと投資協定を発効させており、コートジボワールは4つ目の発効国となった。また、日本はモロッコとも投資協定の署名を完了しており、その他8カ国と交渉を継続している(注2)。

(注1)投資協定の概要については、「『世界は今-JETRO Global Eye』 海外進出する企業を守る こんなときに役立つ『投資協定』(動画)」参照。そのほか、経済産業省のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では日本の投資関連協定の締結状況やその活用事例を確認できる。

(注2)アンゴラ、アルジェリア、ガーナ、タンザニア、セネガル、ナイジェリア、ザンビア、エチオピア

(山田広樹)

(日本、コートジボワール)

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