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中国、スパコン関連7機関への米国の輸出規制強化を受け、自主開発加速との見方も

(中国、米国)

北京発

2021年04月14日

米国商務省産業・安全保障局(BIS)は4月8日、中国のスーパーコンピュータ(スパコン)関連の7機関を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に追加すると発表し、その7機関は、天津飛騰信息技術、上海高性能集成電路設計中心、サンウェイ・マイクロエレトロニクスのほか、国家スーパーコンピューティング・センターの4拠点(山東省済南市、広東省深セン市、江蘇省無錫市、河南省鄭州市)となった(2021年4月9日記事参照)。

これにより、7機関に対して米国製品(物品・ソフトウエア・技術)の輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、米当局の事前許可が必要となる(注1)。

中国外交部の趙立堅報道官は4月9日、米国政府は科学技術の独占と覇権的地位を保つために中国の発展を抑制しており、国家の力やエンティティー・リストを乱用し、手段を選ばずに中国のハイテク企業を抑圧しているとし、断固として反対すると表明した。

趙報道官はまた、米国側の措置に対して中国は必要な措置を取り、中国企業の合法的な権益を断固として守ると発言した。

スパコンに詳しい専門家は、西側諸国がスパコン分野で中国に対する制裁を続けてきたために、中国はスパコンのコア技術で完全な自主研究開発能力を備えたと評価する(注2)。同専門家は、中国が開発した代表的なスパコン「天河2号」の相互接続システムや、「神威太湖之光」のICチップと相互接続システムなど、特に重要な基幹システムは全て国内の機関が自主開発したと指摘した(「環球時報」4月10日)。

趙報道官も、米国はスパコン分野で中国に対する技術的封鎖を続けてきたが、中国のスパコンは「自主創新」により、世界をリードする地位へと躍進したと評価した。また、米国の抑圧は中国の科学技術の発展を阻むことはできず、中国の自主創新の意思をより強固にするだけだとの認識を示した。

上記の専門家は、米国の厳しい制裁に対する最良の対応方法は「国内大循環」の構築を加速することだと指摘し、国内循環を通じて完全に制裁に対応することができるとの認識を示した(注3)。その理由として、中国のスパコン研究開発能力は米国と遜色がない上に、中国市場は非常に大きく、スパコン需要が十分にあることを挙げた(「環球時報」4月10日)。

(注1)今回新たにELに掲載された機関への輸出許可審査は、EARの対象となる全ての製品に関して「原則不許可(presumption of denial)」の扱いになる。つまり、一定の要件を満たせば許可が不要になる「許可例外(license exception)」も適用されなくなる(2021年4月9日記事参照)。

(注2)米商務省は2015年と2019年にも、スーパーコンピュータの開発に関わる中国企業・大学等をELに追加していた(2019年7月3日記事参照)。

(注3)国内大循環について、第14次5カ年(2021~2025年)規画では、「国内大循環に立脚して、強大な国内市場の整備と貿易強国の建設を調和させながら推進する」「国内の経済循環体系をよりどころにして、世界の要素・資源を引きつける強力な重力場を形成し、国内・国際双循環を促進する」などの方針が示されている(2021年3月10日記事参照)。

(藤原智生)

(中国、米国)

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