米商務省、中国のスパコン企業5社を輸出規制の対象に追加

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年07月03日

米国商務省は6月24日、スーパーコンピュータの開発に関わる中国企業5社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に追加すると官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で発表した(表参照)。また、2015年にELに追加していた中国国防科技大学(NUDT)については、別名称の湖南国防科技大学の4拠点を加えている。

表 商務省によってELに追加・修正された中国企業

商務省は官報の中で、これらの企業や大学の技術が軍事利用される懸念がある、としている。商務省は5月に、華為技術(ファーウェイ)およびその関連企業68社をELに追加したばかりだが(2019年5月16日記事参照)、その包囲網をスーパーコンピュータ分野にも拡大したかたちだ。

ELへの外国企業の追加(除外、内容の修正も含む)は、商務省、国務省、国防省、エネルギー省からの代表者、必要な場合は財務省からの代表者も加えた最終需要者審査委員会(ERC)が、「当該企業が米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為を行っている」と認定した場合に行われる。ELに追加された場合、それらの事業体へ米国製品(物品・ソフトウエア・技術)を輸出・再輸出する場合には、事前に許可が必要となる。ただし、今回追加された企業に対しては、「原則として不許可(presumption of denial)」になるため、政府の判断を覆すための十分な立証ができない限りは、許可を得ることはできない(注1)。

米半導体メーカーにも影響か

米国半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、今回ELに追加された海光との間で合弁事業を有している(注2)。また、ほかのEL掲載企業も、AMD以外にインテルやエヌビディア(NVIDIA)といった米国半導体メーカーからも調達しているとされる。AMDはCNNのインタビュー(6月21日)に対して、「われわれはこれまで米国の法律を守ってきたように、ELを管理する規則を順守する。合弁事業に関する次のステップを決定するに当たり、指令の詳細を検証している」と答えている。

(注1)商務省が公表しているEARに基づくエンティティー・リスト(2019年6月24日時点)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに、企業ごとのライセンス審査方針(License Review Policy)が示されている。

(注2)AMDのウェブサイトでは、THATICという企業名で掲載。

(磯部真一)

(米国、中国)

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