中国の王毅外相が中東6カ国歴訪

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、中国)

中東アフリカ課

2021年04月01日

中国の王毅・国務委員兼外交部長は3月24~30日に中東6カ国を訪問し、連携強化に向けて各国要人と会談を行った。主な会談内容について、政府発表や現地報道などによると、次のとおり。

最初の訪問国サウジアラビア(24日)では、王外相はムハンマド・ビン・サルマン皇太子らと会談。2国間の協力関係発展を確認するとともに、地域の安全と安定性を高めるため、石油施設への攻撃やイエメン危機に対するサウジアラビアの措置を支持するとした〔25日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。中国外交部によると、王外相は新疆ウイグル自治区や香港、台湾の問題に対するサウジ側の中国支持に謝意を述べ、貿易や投資、インフラなどの伝統的分野に加えて、再生可能エネルギーや第5世代移動通信システム(5G)、人工知能(AI)などのハイテク分野でも協力すると述べた(25日付中国外交部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

次のトルコ(25日)では、エルドアン大統領らと会談し、トルコが中国シノバック製の新型コロナウイルスワクチンの接種を進めていることから、ワクチンの追加提供など新型コロナウイルス対策の協力をさらに深めるとした。また、中国の「一帯一路」構想とトルコの中回廊プロジェクト(注1)との相乗効果や、ハイテク分野での協力可能性なども協議した(26日付中国外交部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。チャウシュオール外相とは、新疆ウイグル自治区問題に対するトルコの見解についても意見交換を行ったとされる(注2)。

イラン(26~27日)では、25カ年に及ぶ長期の包括的協定の締結で注目を集め(2021年3月29日記事参照)、アラブ首長国連邦(UAE、27~28日)では、UAE国内でのシノファーム製ワクチンの製造協力で合意した(2021年3月30日記事参照)。

湾岸協力会議(GCC)加盟国では、オマーンとバーレーンを訪問した(ともに29日)。オマーンでは詳細は非公表ながら、2020~2024年にメディアや衛生、文化面での協力プログラムの実施に署名したとの現地報道があった。バーレーンでは経済・貿易・投資分野での協力や、両国間での「文化センター」設立に合意するとともに、バーレーン側からはUAEとのワクチン製造に貢献したいとの提案があったと報じられた。

(注1)トルコ政府が「現代のシルクロード」とも呼ぶ東西道路を結ぶプロジェクト。

(注2)トルコは、新疆ウイグル自治区からの亡命者らを含め、民族的に近いウイグル族を受け入れており、王外相の来訪に合わせて一部が抗議デモを行った。

(米倉大輔)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、中国)

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