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EU首脳、ワクチン輸出許可制度支持で一致、英国との溝も浮き彫りに

(EU、英国)

ブリュッセル発

2021年03月29日

欧州理事会(EU首脳会議)は3月25日、オンライン形式での会合を開催し、新型コロナウイルス対策、デジタル政策、トルコやロシアに対する外交政策などついて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。欧州理事会はデジタル政策に関して、欧州委員会が3月9日に発表した2030年までのデジタル化目標「デジタル・コンパス」(2021年3月12日記事参照)を評価するとともに、欧州委に対して引き続きデジタル・データ分野での政策の策定を求めた。デジタル課税に関しても、2021年半ばごろまでの合意を目指しOECDで協議されている国際的な枠組みへの取り組みを支持する一方で、合意形成が難しい場合、EUは独自のデジタル課税法案を2023年からの適用を念頭に、2021年上半期には発表する予定だとあらためて表明した。

また、今回の欧州理事会には、シャルル・ミシェル常任議長の招待により、米国のジョー・バイデン大統領も参加した。米国大統領の参加はバラク・オバマ元大統領以来11年ぶりとなり、民主主義体制の同盟として同じ価値観を共有する米国との幅広い分野での連携強化を印象付けた。

ワクチン輸出の許可制度の正当性を強調

新型コロナウイルスのワクチン問題に関しては、ミシェル常任議長は欧州理事会後の記者会見で、欧州委が実施するワクチンの輸出許可制度(2021年3月25日記事参照)については加盟国間でコンセンサスができていると結束を強調した。

同じく記者会見に出席した、欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、輸出許可制度に関連して、欧州委が事前購入合意を結ぶ製薬会社はEU域外にワクチンを輸出する前に、欧州委との合意を履行しなければならいとし、英国のアストラゼネカをあらためて批判。また、アストラゼネカ製のワクチン2,900万回分がイタリアで発見された問題(2021年3月25日記事参照)については、1,600万回分が加盟国に、1,300万回分が国際的なワクチン開発・供給枠組みCOVAXを通じて、低・中所得国に提供される予定であることを同社と確認した旨を明らかにした。さらに、2020年12月以降、EUからのワクチン輸出の総数が7,700万回分に達するなどEUが世界最大の輸出元であることや、同制度の導入以降、33カ国向けに380件以上の輸出が許可されたのに対して不許可は1件(2021年3月8日記事参照)のみとし、EUが世界で最も信頼できる輸出元であることを挙げ、同制度の正当性を強調した。

EUからのワクチンの最大の輸出先にもかかわらず、EUへワクチンの輸出が全くされていないとして、欧州委が批判していた英国とは、協力に向けて協議をしているとの共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを3月24日に発表していたが、具体策への言及はなく、今回の記者会見でもフォン・デア・ライエン委員長は、英国からのワクチン輸出に関して透明性がないと不満を表明するなど、英国との溝の深さを浮き彫りにした。

(吉沼啓介)

(EU、英国)

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