ASEAN非公式外相会議、ミャンマー情勢で議長声明を発表

(ASEAN、インドネシア、シンガポール、ミャンマー)

ジャカルタ発

2021年03月04日

ASEANは3月2日、ミャンマー国軍の権力掌握(2021年2月1日記事参照)への対応を協議するため、オンラインで非公式の外相会議を開催した。会議後に発表した議長声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、ミャンマー情勢に対する懸念を表明するとともに、「前向きで平和的、かつ建設的な手法でASEANはミャンマーを支援する用意がある」とした。

ASEAN外相会議の開催については、インドネシアのジョコ大統領とマレーシアのムヒディン首相が2月5日の首脳会談後の共同記者会見で、ASEAN議長国ブルネイに開催を求めることを発表していた(2021年2月8日記事参照)。インドネシアのレトノ・マルスディ外相はその後、ブルネイ、シンガポール、タイへのシャトル外交を含め、ASEAN各国への調整を積極的に行い、開催準備をリードしてきた(2021年3月1日記事参照)。

今回の議長声明では、全ての関係者に対し、さらなる暴力の扇動を控え、建設的な対話を通した平和的解決を求めている。一方、アウンサンスーチー氏を含む政治指導者の解放については、シンガポール外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますフィリピン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、インドネシア、マレーシアが言及したが、議長声明には反映されなかった〔各国外務省ウェブサイトとロイター通信(3月2日付)〕。ASEANはASEAN憲章PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で内政不干渉の原則をうたっており、その対応が注目されていた。

ミャンマーに国民や外国との対話求める

シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相は会議で、2007年のサフラン革命(注)を含め、ミャンマーが第二次世界大戦後に歩んできた歴史に言及しつつ、「ミャンマーはこの10年で民主化の道を進んでおり、人口の半数以上を占める30歳以下の若者世代の間にもその期待が高まってきた」とした上で、「ミャンマー国内で真摯(しんし)な対話が開かれない限り、実現されることはない」と、国軍に対し国民との対話を強く呼びかけた(シンガポール外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

インドネシアのレトノ外相は会議後の記者会見で「今こそASEAN中心性の真価をASEANの人々に証明する時」として、ASEANの全ての加盟国に対しミャンマー情勢の安定化への貢献を求める一方、ASEANによるミャンマーへの支援を実現するためには、同国が門戸を開く必要があるとも語った(「コンパス」紙3月2日)。

(注)2007年に軍事政権下のミャンマーで行われた反政府運動。運動には僧侶が大きな役割を担い、僧衣の色からこの名前がついた。

(上野渉)

(ASEAN、インドネシア、シンガポール、ミャンマー)

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