インドネシア、タイ、ミャンマー3者会談を実施

(ASEAN、インドネシア、タイ、ミャンマー)

ジャカルタ発

2021年03月01日

インドネシアのレトノ・マルスディ外相は2月24日、タイを訪問し、ミャンマー国軍による権力掌握(2021年2月1日記事参照)後に国軍により外相として指名を受けたワナマウンルイン氏、およびタイのドーン・ポラマットウィナイ外相と3者会談を行った。またレトノ外相は、ドーン外相との2者会談も併せて実施し、直近のミャンマー情勢に関するインドネシアの立ち位置を伝えるとともに、ASEANによる会合の開催を提案した。インドネシアは、シャトル外交を重ねつつ、本件についてASEANをリードする姿勢を明確にしている。

インドネシア外務省のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、3者会談においてレトノ外相は、ミャンマー情勢について懸念を伝えた上で、国民の安全と安寧を優先させ、全ての関係者に自粛と暴力の不行使、さらにASEAN憲章PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)順守の重要性を訴えた。また、インドネシアはミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)ともコミュニケーションを図りつつ、同様のメッセージを同委員会に伝えたことも明らかにした。レトノ外相は「インドネシアはミャンマー情勢の打開を図るため、全ての関係者と会話を続けていく」と述べた。なお、「バンコク・ポスト」紙(2月24日)によると、ミャンマー国軍による権力掌握以降、海外訪問を行った同国の要人は、ワナマウンルイン氏が初めて。

また、同リリースによると、インドネシア・タイの外相会談において、レトノ外相はミャンマー情勢に関するASEAN会合の開催を提案(2021年2月8日記事参照)し、ドーン外相の同意を得た。一方で、レトノ外相によると、ドーン外相は「タイとミャンマーは2,400キロにわたり国境を接し、かつ200万人のミャンマー人がタイに滞在している」と同国の特殊な状況に対して理解を求めた。

ミャンマーへの訪問は延期に

レトノ外相は2月17~18日にブルネイとシンガポールを訪問、各外相に対しASEANによる会合の開催を提案している(2021年2月19日記事参照)。また同外相は、直近ではその他のASEAN各国外相や国連特使、そして米国とも対話を行ったと述べた。さらに、タイを訪問した後に、ミャンマーを訪れる予定だったが、今回は延期になったことも明らかにした。レトノ外相は「『新型コロナ禍』でシャトル外交を行うのは簡単ではない」とする一方、「インドネシアとして何も行動しないという選択肢はない」と述べた。

(上野渉)

(ASEAN、インドネシア、タイ、ミャンマー)

ビジネス短信 1d641348153bd540