インドネシア・マレーシア両首脳、ASEAN外相特別会議の開催提案

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、ミャンマー)

ジャカルタ発

2021年02月08日

マレーシアのムヒディン・ヤシン首相はインドネシアを訪問し、2月5日にジョコ・ウィドド大統領と会談を行った。ミャンマーで国軍が権力を掌握したことに対し(2021年2月1日記事参照)、両首脳は「深刻な懸念」を表明した上で、本件に関するASEAN外相特別会議の開催について、ASEAN議長国のブルネイに提案するよう指示した(2月5日付マレーシア首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ASEAN地域の安定を重視

首脳会談後の共同記者会見で、ムヒディン首相は「今回のミャンマーおける事象は、同国における民主主義へのプロセスの後退を意味する」とし、「ミャンマーの政治的混乱は、地域の安定と平和を危険にさらすものだ」と述べた。ジョコ大統領も「ASEAN共同体のビジョンを達成するためにも、法律は順守されなければならない」とした上で、「全てのASEAN加盟国はASEAN憲章PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を尊重することが重要だ」と強調した(2月5日付インドネシア国家官房外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、両首脳は南シナ海情勢についても触れ、全ての国が国際法、特に1982年に採択された国連海洋法条約(UNCLOS)を地域安定のために順守する必要があるとした(「テンポ」紙2月5日)。新型コロナウイルス禍の中で南シナ海では中国と海洋権益を主張する国との間で対立が起きているのが現状だ(2020年6月23日記事参照)。

両国の関係強化で合意

両首脳は両国関係を戦略的・包括的なものへと深化させることでも合意し、特に、新型コロナ禍での両国間の経済・貿易・投資の関係を活性化させていくとした。具体的には、標準作業手順(SOP)を順守しつつ、重要な公務や商用目的の渡航者の相互入国を認める相互グリーン・レーン(RGL)の導入に向け、既に議論が行われていることを明らかにした。また、パーム油由来のバイオ燃料の使用を2030年までに段階的に禁止する欧州などの反パーム油の動きに対し、同産品の世界の2大生産国である両国が協力して対応していくことを確認した。ムヒディン首相は「EUのパーム油に対する対応は根拠がない」とした上で、「自由貿易の原則に反している」と批判した(チャンネル・ニュース・アジア2月5日)。

(上野渉)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、ミャンマー)

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