米石油大手シェブロン、ノーブル・ミッドストリーム・パートナーズの買収に合意

(米国)

ヒューストン発

2021年03月08日

米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サン・ラモン)は3月5日、石油ガスのパイプライン輸送を担うノーブル・ミッドストリーム・パートナーズ(本社:テキサス州ヒューストン)を買収することで合意したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ノーブル・ミッドストリーム・パートナーズの株主は1株当たりシェブロン株0.1393株を受け取り、取引額の総額は13億ドル相当となる。

シェブロンは2020年7月20日に、ノーブル・ミッドストリーム・パートナーズの親会社である独立系石油ガス開発企業のノーブル・エナジー(本社:テキサス州ヒューストン)を約50億ドルで買収(2020年7月22日記事参照)しており、ノーブル・ミッドストリーム・パートナーズとの強い関係を築き、米国内の石油ガスのパイプラインによる輸送課題の解消を念頭に置いている。

ノーブル・ミッドストリーム・パートナーズは現在、コロラド州のデンバー/ジュレスバーグ盆地(DJ盆地)と、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地で、石油ガスのパイプライン輸送サービスを実施している。

今回の買収により、シェブロンは石油ガスの生産・輸送を含めたガバナンス機能を簡素化し、DJ盆地とパーミアン盆地でさらなる運用の統合を図ることを狙う。買収取引の完了は2021年第2四半期(4~6月)を予定している。

原油価格は2021年1月からのOPEC加盟国とそれ以外の主要産油国で構成する「OPECプラス」による協調減産の影響もあり、2月後半以降60ドル台で推移している。2020年6月以降続いた30~40ドル台に比べて価格は回復しているが、新型コロナウイルス感染拡大の行方は不透明であり、また、石油大手企業は石油製品の需要は少なくとも2023年まで低迷するともみている。2020年のコノコフィリップスによるコンチョ・リソーシズの97億ドルの買収(2020年10月21日記事参照)やパイオニア・ナチュラル・リソーシズによるパースリー・エナジーの45億ドルの買収(2020年10月22日記事参照)と同様、本件は事業効率化により、先行き不透明な状況を乗り越えようとする産業界の取り組みの象徴例といえよう。

(沖本憲司)

(米国)

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