ジェトロ、日本産酒類オンライン商談会開催、カナダ・オンタリオ州市場参入の糸口に

(カナダ、日本)

トロント発

2021年03月12日

ジェトロは3月2~4日、カナダ・オンタリオ州の酒類輸入エージェント2社と日本産酒類の輸出を計画している日本企業12社のオンライン商談会を開催した。日本の国税庁からの受託事業として実施した。従来のように、輸入エージェントを日本へ招いたり、日本の酒蔵がカナダを訪れたりしてリアルでの商談会を実施することが新型コロナウイルス禍で難しい中、オンラインでの実施となった。商談会では、実施に先立って試飲用サンプルをカナダへ輸出し、輸入エージェントが自宅で試飲を行いながら、オンラインで日本企業と商談を行う形式を取った。

カナダでは、酒類の輸入は各州の酒類公社しか認められておらず、個人や企業が自由に輸入を行うことはできない。オンタリオ州の酒類の小売販売は、規制緩和により一部のスーパーなどでも認められているものの、スーパーへ商品を卸しているのは酒類専売公社LCBOで、実質的にはLCBOによる専売体制が取られている。LCBOが商品の買い付けを決めない限り、オンタリオ州の酒類販売チャネルへ商品を流通させることはできない。そのため、国外の酒類製造業者は同州の輸入エージェントをLCBOとの交渉窓口として活用し、LCBOの商品公募への応募を行って、オンタリオ州市場への参入の糸口を探ることになる。

今回の商談会に参加した輸入エージェントの1社、アメジスト・ワイン・エージェンシーのローラ・ヒギンズ社長は、新型コロナウイルス感染拡大直前の2020年2月にも、京都や山陰で行われたジェトロの酒類商談会へ参加し、日本産酒類の開拓に意欲的だ。

写真 日本から送られたサンプルを試飲しながら、企業のオンラインプレゼンに聞き入るローラ・ヒギンズ氏(ジェトロ撮影)

日本から送られたサンプルを試飲しながら、企業のオンラインプレゼンに聞き入るローラ・ヒギンズ氏(ジェトロ撮影)

商談を終えての感触をヒギンズ社長に尋ねたところ、「原材料に焼酎やユズが使用されるなど、日本らしさのあるジンが見つかった。また、コロナ禍でレストランのテークアウト用に300ミリリットルの小瓶の需要が高まる中、そうしたサイズへ対応が可能で、かつユニークな背景を持つ日本酒も見つかった」とコメントし、商談に手応えを感じた様子だった。商談を行った日本企業は、店頭・レストラン向け・オンラインなど数あるLCBOの販売方式の中から商品の特性に合わせて個別に提案を行っていくという。

ジェトロが2月15日と22日にトロントの飲食業界関係者向けに行った日本酒ペアリングウェビナー(2021年2月22日記事、3月3日記事参照)でも、日本酒を取り扱ったことのないレストランの中で日本酒への関心が高まっていることが分かっており、カナダに未輸出の日本産酒類が本商談会を契機としてオンタリオ州で流通することが期待される。

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

ビジネス短信 7c3611780aa6639e