米国からの輸入制限撤廃、イスラエルとの国交正常化など2国間関係に進展

(スーダン、エジプト)

カイロ発

2021年03月22日

ジェトロは、米国からの経済制裁解除やイスラエルとの和平など政情が変化するスーダンの貿易投資制度について、2021年2~3月にかけて現地法律事務所Dirdeiry & Partners Law Firm外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと調査を実施した。

スーダンは2011年7月の南スーダンとの分離以来、政情不安や米国からの経済制裁など厳しいビジネス環境が続いてきたが、2019年に政権交代し(2019年4月16日記事参照)、2020年12月14日に米国が包括的制裁を解除したことが(2020年12月22日記事参照)、経済の見通しに明るい兆しとなった。

米国の制裁解除により、コンピュータのハードウエアとソフトウエア、電気通信技術や航空機関連の製品に対する輸入制限は撤廃される。今後は米国からの輸入が増加するなど、両国間の経済関係の進展が期待される。一方、スーダンの主要輸出品は、金、家畜、石油、ゴマ、種子、綿花、アラビアガムなどで、主な輸出国はアラブ首長国連邦(UAE)、中国、サウジアラビア、エジプト、インドとなっている。

2020年10月にイスラエルとの国交正常化を表明して以降、2021年1月にはアブラハム合意に調印したことから、今後はイスラエルとの経済関係の進展も期待される。

なお、輸出および輸入においては、禁止もしく制限されている品目は複数あり、関係省庁への登録やライセンス、許可取得が必要だ。

緊縮財政や公的支出の健全化については、2018年にはGDPの10%に達した補助金の撤廃を決行するなど、具体的な動きもみられる。

多国間の枠組みでは、WTO加盟に向けてオブザーバーとして、交渉のための作業部会が行われている。前回開催は2017年6月だったが、次回の日程は未定となっている。2国間自由貿易協定は11カ国と締結済みで、地域協定では東南部アフリカ市場共同体(COMESA)、東アフリカ8カ国との政府間開発機構(IGAD)、大アラブ自由貿易地域(GAFTA)に加盟している。2021年に運用開始したアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)にも署名済みだ。

2019年8月の暫定政権発足以降、通貨スーダン・ポンドの安定に向けた取り組みも加速している。2021年1月からは米国ドルとの交換レートを一本化し、市中銀行や両替商では公定レート(1ドル=約380スーダン・ポンド)で統一されており(2021年2月24日記事参照)、国際金融機関からも歓迎されている。

(常味高志)

(スーダン、エジプト)

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