米商務省、輸出管理における香港の扱いを中国と同一に変更

(米国、中国、香港)

ニューヨーク発

2021年01月04日

米国商務省・産業安全保障局(BIS)は2020年12月23日、輸出管理規則(EAR)において香港を中国と同一に扱う最終規則を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。中国政府による香港への国家安全法導入を受けて、ドナルド・トランプ大統領が7月に発表した大統領令(2020年7月16日記事参照)に沿った措置となる。

BISは既に6月末に、輸出管理において香港に認めていた全ての許可例外(注)の停止を発表し(2020年7月1日記事参照)、官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでの公示を経て7月31日から同措置を有効としていた。今回の最終規則では許可例外の停止を超えて、EARの各条文から一部を除き「香港」に関する記述を削除し「中国」に置き換えることで、今後、香港を中国と同一に扱うことにした。

これによって、BISが米国製品の仕向け国・地域ごとに留意すべき規制内容を整理しているカントリーチャート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや、許可例外に該当する仕向け国・地域かどうかなどを判断する際に参照するカントリーグループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのリストが更新され、「香港」の表記は削除された。また、「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為をした」と判断した団体や個人が掲載されるエンティティー・リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでも、これまで香港籍で記載されていた事業体は中国籍に統合された。BISが米国製品を軍事転用する恐れがある外国事業体として2020年12月23日に発表した「軍事エンドユーザー・リスト」(2020年12月25日記事参照)にも香港が拠点の3つの事業体が含まれているが、中国籍で記載されている。

トランプ政権は昨今、中国に対する輸出管理を厳格化する措置を導入しており、今後は香港も中国の一部として同じ措置が適用されることになる。

(注)本来であれば、EAR対象品目を輸出などする際にBISからの事前許可が必要な場合でも、「人道目的の寄贈品」など、一定の条件を満たしている場合は許可が不要とされる例外措置。

(磯部真一)

(米国、中国、香港)

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