米トランプ政権、輸出管理における香港への特別待遇を取り消し、防衛装備品の輸出も終了

(米国、中国、香港)

ニューヨーク発

2020年07月01日

米国商務省は6月29日、香港に認めている米国輸出管理法令上の特別待遇を取り消すと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国務省も同日、香港への米国原産の防衛装備品の輸出を終了するとともに、米国の防衛およびデュアルユース(軍事・民生ともに利用できる)技術に関して、香港には中国と同じ制限をかけていくと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トランプ政権は、中国政府による香港への国家安全法導入を受けて、中国と香港に対する制裁措置を順次発表しており(2020年6月1日記事参照)、今回の対応もその一環となる。

ウィルバー・ロス商務長官は声明で、中国政府による香港の自治権侵害により、米国の機微な技術が中国の人民解放軍または国家安全部に渡るリスクが高まったため、香港への特別待遇を取り消すに至った、と説明している。

商務省の産業・安全保障局(BIS)は、輸出管理における香港の特別待遇について、同局サイトで公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。しかし、今回の発表文では「輸出許可の例外適用を含めて、商務省の規制上で中国とは別に香港へ与えている優遇措置は停止される」とのみ記載されており、どの範囲で規則が変更されるのかは明示されていない。かつ、商務省は「異なる待遇を撤廃する、さらなる措置を検証中」としている。また、国務省の発表文も、防衛装備品の輸出終了およびデュアルユース技術に関する制限の具体的な措置については言及していない。

国務省は6月26日にも、香港の自治権侵害に関与した中国共産党の現職および元幹部に対して、米国入国ビザの制限を課すと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。ビザ制限はそれら幹部の家族にも及び得る、としている。中国政府は、米国民に対して同様の対抗措置をとり得ることを29日に発表したが、これに対して、マイク・ポンペオ国務長官は「中国共産党の脅しは、北京が再び自らの選択の責任を取ることを拒否した証しだ」と批判した上で、中国に対して、1984年の中英共同宣言を順守するよう促した。

(磯部真一)

(米国、中国、香港)

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