2020年の自動車販売台数は前年比9.1%減、2年連続の縮小
(ロシア)
サンクトペテルブルク発
2021年01月28日
2020年のロシアの新車乗用車および小型商用車の販売台数は前年比9.1%減となる159万8,825台にとどまり、2年連続で減少した(添付資料図参照)。在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)が1月14日に発表した。
販売台数の落ち込みの背景には、新型コロナウイルス感染防止策として導入された、経済活動制限措置による自動車生産の縮小がある(「コメルサント」紙2020年11月26日)。ブランド別では、中国車が前年比2桁増と健闘したものの(2020年7月21日記事参照)、ほとんどのメーカーが前年比減となった(添付資料表参照)。
2020年の販売台数の推移をみると、上半期は前年同期比23.3%減と大幅減になったが、第3四半期以降はロシア政府の購入支援策や低金利、ルーブル為替レートの下落を背景とした需要増(2020年12月24日記事参照)が追い風となり、下半期は前年同期比3.2%増と持ち直した。AEB自動車製造者委員会のトーマス・シュテルツェル委員長は、2020年を「困難だったが、良い結果を残した」と総括している。
今後の市場を占う上で注目されるのは、政府による施策だ。ロシアの自動車市場調査会社アフトスタトは「2014年以降、消費者向けの新車需要喚起政策が市場の拡大に功を奏してきた」と分析。地場大手投資銀行VTBキャピタルのアナリストであるウラジミル・ベスパロフ氏も、需要喚起政策を背景に2021年のプラス成長を見込んでいる。一方、大手監査法人デロイトCIS自動車産業支援グループリーダーのタチアナ・コファノワ氏は「政府が検討している廃車税の引き上げが今年実施された場合、車両販売価格に転嫁され需要の縮小を招きかねない」と指摘し、2021年は停滞もしくはやや減退するとみている(「フォーブス」ロシア版1月14日)。
(一瀬友太)
(ロシア)
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