行政手続き改善へ、ズン官房長官と日系企業が対話会

(ベトナム)

ハノイ発

2021年01月04日

ベトナムのマイ・ティエン・ズン官房長官と日系企業の対話会が12月21日、ハノイ市内の国際会議場で開催された。ズン官房長官は行政手続き改革諮問評議会のリーダーも務めており、日系企業が直面する行政手続き面の課題について協議した。対話会はベトナム首相府が主宰し、9省庁の代表者が参加。日本側は山田滝雄駐ベトナム大使、ジェトロ、政府関係機関、日系企業40社の代表者などが参加した。

ズン官房長官は冒頭、2025年までにビジネス関連手続きの20%削減を目指していると説明。ベトナムの社会経済に対する日本企業の貢献は大きいと評価した上、「日系企業の意見や提案を直接受け止め、行政改革につなげたい」と述べた。首相府行政手続き管理局のゴ・ハイ・ファン局長は、企業は問題があれば、国家公共サービスポータルサイトから首相府に直接報告することもできると説明した。

日系企業からは16社が自社を含めた在ベトナム日系企業の抱える課題を報告。操業までの認可プロセスの遅延や、煩雑なVAT還付手続き、投資インセンティブの否認、電力インフラの脆弱(ぜいじゃく)性などの問題を挙げた。国営企業改革で株式会社化される企業の情報開示が不十分だという指摘に対して、計画投資省の担当官が2021年から英語での情報開示を始めるとした。ビジネス渡航の入国手続きに2カ月ほど要することがあるとの問題提起に対しては、公安省出入国管理局の担当官が同局管轄の手続きは3日以内で終えていると説明。ズン官房長官は公安省内でさらに工夫するとともに、関係する全ての機関で連携して手続きの簡素化や時間短縮に努めるよう指示した。

山田大使は各省庁の回答に感謝の意を示し、「日本企業のベトナムへの投資意欲は高まっている。今こそ各問題を乗り越える時であり、建設的な対話が重要だ」と訴えた。ズン官房長官は「中央省庁にまたがる問題や、法規の解釈の違いによる問題があれば、政府から指示を出す」と課題解決に向けて協力する姿勢を示した。

日本政府が進める海外サプライチェーン多元化等支援事業の採択企業81社のうち、延べ37社がベトナムでの事業を計画しており、日本からの投資に対するベトナム政府の期待が高まっている(注)。

(注)ベトナム政府は、9月にグエン・スアン・フック首相と日系企業の対話会を実施(2020年9月11日記事参照)。10月の菅義偉首相のベトナム訪問時には両国の官民で文書交換式が行われた(2020年10月22日記事参照)。

写真 対話会の様子(ジェトロ撮影)

対話会の様子(ジェトロ撮影)

写真 議長を務めた山田大使(左)とズン官房長官(右)(ジェトロ撮影)

議長を務めた山田大使(左)とズン官房長官(右)(ジェトロ撮影)

(庄浩充)

(ベトナム)

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