欧州自動車工業会、EV普及へ現実的な取り組みを欧州委に促す

(EU)

ブリュッセル発

2020年12月16日

欧州自動車工業会(ACEA)は12月10日、欧州委員会が9日に発表した「スマートモビリティー戦略」(2020年12月11日記事参照)について声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、電気自動車(EV)など温室効果ガス排出ゼロ車のさらなる普及を目指す欧州委の方針に賛同した。しかし、「EVの乗用車を2030年までに少なくとも3,000万台に増やす」という目標があるが、ACEAの調査によると、これは2019年時点で約61万台(全体の0.25%)にすぎないEUの温室効果ガス排出ゼロ車をわずか10年で約50倍にするというもので、現実的ではないと批判した。また、ACEAは「EVの普及促進には充電スタンドの増加が不可欠」とこれまでも訴えてきた(2020年10月30日記事参照)が、欧州委の「2030年までに300万カ所を設置」という目標達成には、今後11年間で現在の15倍に増やす必要があると指摘。そこで、EUの「代替燃料補給インフラ配備に関する指令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2014/94/EU)」の改正に当たり、国別に目標設置数を設定してEU加盟国の投資を促すなど、取り組みの強化を求めた。また、消費者のEV購入を促すため、新車購入に関連するインセンティブの継続などの手段を講じることや、自動車業界の変革に向けて、従業員に対する技能研修などへの支援も求めた。

2020年の西欧のEV販売台数、既に100万台超

ACEAは、EVの価格や「新型コロナウイルス危機」の影響により、消費者の新車購入意欲が低下する可能性を懸念しているが、欧州市場でEVは確実にシェアを伸ばしている。ドイツのコンサルティング企業マティアス・シュミットの調査では、西欧18カ国(注)のEVの累計販売台数は11月末までに既に100万台を超え、2020年末までに約110万台となると見込まれている。特に、欧州最大市場のドイツでは、「新型コロナ危機」関連の経済対策として導入された最大で9,000ユーロの購入補助金も追い風となり、同国のEVの新規登録台数は西欧18カ国全体の25%を占めている。さらなるEVの普及を見込んで、ドイツでは私用の充電設備の設置への助成などが始まった(2020年12月9日記事参照)が、こうしたインフラ面での取り組みも含めて、今後の欧州のEV市場の動きが注目される。

(注)EU27カ国のうち14カ国(ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、デンマーク、アイルランド、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド、スウェーデン)と、ノルウェー、アイスランド、スイス、英国の計18カ国

(滝澤祥子)

(EU)

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