第3四半期の経済成長率、前年同期比マイナス9.4%

(ペルー)

リマ発

2020年12月02日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は11月20日、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比でマイナス9.4%だったと発表した。ペルーでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、3月16日から緊急事態宣言が発令された後に多くの産業が操業を停止していたが、7月以降は経済活動再開計画の第3段階が始動(2020年7月16日記事参照)。それにより経済稼働率も96%まで復活したため、GDP成長率も第2四半期(4~6月)(2020年8月31日記事参照)のマイナス30.2%より大幅に改善した。

需要項目別では、全体の63.7%を占める民間消費が緊急事態宣言下での失業や収入減などの影響により、マイナス9.3%の減少を記録した。第3四半期の全国世帯調査(ENAHO)によると、就業者は前年同期比17.1%減少し、収入も同37.1%減少しているため、消費活動への影響が色濃く出ている。その他、総固定資本形成はマイナス10.2%、輸出がマイナス25.6%となっている。前者に関しては、建設事業の停滞(前年同期比4.8%減)と、国内外からの設備機器(発電機、変圧器など)の購入の減少(同18.0%減)が大きく影響したが、反対に、トラック(同34.1%増)やオフィス機器(同24.3%増)、農業機械(同20.2%増)などの購入はプラス成長を記録している。

輸出については、伝統産品では銅鉱(前年同期比34.3%減)、金鉱(同29.3%減)、精製銅(同18.7%減)などの鉱業品や、皮むきコーヒー豆(同14.0%減)、冷蔵・冷凍魚介類(同4.5%減)の輸出が伸び悩んだ一方で、魚粉(同97.4%増)は顕著な伸びを記録した。非伝統産品では果実(同29.9%増)、加工果実や加工野菜(同20.0%増)、アボカド(同1.9%増)などの輸出が増加した。9月までの主な輸出先は中国(シェア28.4%)、米国(16.1%)、カナダ(6.4%)、韓国(4.5%)、日本(3.9%)(注)。

経済活動別では、ホテルやレストランなどのサービス業が第2四半期(マイナス89.3%)に引き続き、前年同期比マイナス61.4%と全業種で最大の減少幅を記録したが、商業は経済活動再開計画により、第2四半期のマイナス45.9%からマイナス8.1%と改善傾向にある。

(注)貿易動向について、前年同期比の数字はINEIのプレスリリース資料に掲載されたもの。各品目や各仕向け地の輸出額は記載されていない。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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