年金制度改革令を公布、雇用主負担率を2023年から引き上げ

(メキシコ)

メキシコ発

2020年12月22日

メキシコ政府は12月16日、連邦官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで年金制度改革令を公布し、年金受給のための民間正規労働者の最低就労期間と最低保証年金額(月額)、ならびに労働者の確定拠出型年金に対する雇用主負担率を改定した。2021年1月1日に発効するものの、雇用主負担率の改定は2023年1月1日から実施される。本改正は、2020年7月22日にアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領が方針を明らかにし(2020年7月27日記事参照)、9月に議会での審議が開始され、12月9日に上院で承認された。

社会保険庁(IMSS)に加入する正規労働者は、労働者の選択に基づき、60歳以上、あるいは65歳以上で年金の受給申請資格を得る(注1)が、1997年の社会保険法で規定された現行年金制度では、同資格を得るための正規雇用での最低就労期間は1,250週と定められている。これを2021年1月より750週に改定する。ただし、1年ごとに25週が追加されていき、2031年からは1,000週が最低就労期間となる。最低保証年金額(月額)については、法定一般最低賃金で750週間就労した場合、2,622ペソ(1万3,634円、1ペソ=約5.2円)が支払われる。給与水準と就労期間の掛け合わせで、最低保証年金額が決まる。拠出額と運用実績に基づく個人年金口座の運用残高がそれに満たない場合、政府が補填(ほてん)することになる。

雇用主負担が最大で2.7倍に

個人年金運用口座への拠出における雇用主の負担は増加する。現在は、雇用主が労働者の基準給与(SBC、注2)の2%相当額を退職金積立(注3)として拠出し、さらに年金の雇用主負担率として3.15%が定められていることから、合計の拠出率は5.15%だ。前者に変更はないが、後者は給与水準に応じた負担率(給与水準が高い労働者の方が雇用主負担率は高い)となり、2023年1月から8年間かけて引き上げられ、2030年に最大で11.875%に至る(添付資料表参照)。合計すると、雇用主負担率は最大で13.875%となる。政府は現状の負担率0.225%を、比率ではなく給与水準に応じた固定額制の社会負担金(6.25ペソ~10.75ペソ、給与水準が低い方が政府負担率は高い)を支出することになる。他方、労働者の負担は1.125%で変更がない。

今回の改正令では、社会保険法と同時に退職年金制度法の第37条の改正も行い、民間の年金基金運用機関(AFORE)が利用者(労働者)から徴収する手数料の上限として、米国、コロンビア、チリの確定拠出型年金運用基金が徴収する手数料の平均値を設定することを定めた。

(注1)メキシコには定年制がなく、また、確定拠出型の年金であるため、個人年金運用口座にたまった金額や生活水準に応じて、労働者の年金受給開始時期の選択は異なる。

(注2)基本給に福利厚生(ベネフィット)部分も加えた広義の給与。

(注3)職を失った際、退職した際の一時金として、労働者が個人年金口座から引き出すことを視野に入れたものだが、年金との明確な区別はなく、年金のための拠出金と同じ口座で運用される。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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