ほぼ全土がソーシャルディスタンス地域へ移行、行動規制を緩和

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年12月01日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は11月27日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により3月20日に発令した外出禁止措置を12月20日まで再度延長する方針を発表した。外出禁止措置は強制隔離を講じる地域(ASPO)と、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ地域(DISPO)に全土を分けて感染拡大防止を図っているが、今回、アルゼンチン南部のパタゴニア地域に位置する3都市(バリローチェ市、ディナ・ウアピ市、プエルト・デセアド市)を除き、これまでASPOに指定していた地域がDISPOに移行した。これにより、国土のほぼ全てがDISPOに移行したことになる。ブエノスアイレス首都圏(AMBA、ブエノスアイレス市とブエノスアイレス州周辺35都市で構成する地域)は既に11月9日にDISPOに移行している(2020年11月9日記事参照)。

11月30日付で公布した必要緊急大統領令(DNU)956/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、DISPOで禁じられているのは、密閉空間また公共施設以外での20人以上の文化・娯楽・宗教的イベントや自宅での集会の開催、公共施設の屋外スペースでの100人以上の文化・娯楽・宗教的イベントの開催、密閉空間での10人以上のあらゆる運動・スポーツの実施(AMBAでは人数問わず密閉空間では禁止)、映画館・劇場・文化センター、他都市や他国とつなぐ公共交通機関サービス。公共交通機関の利用は、引き続き必要不可欠な業種に従事する者に限られる。非居住者外国人の入国禁止措置も12月20日まで延長となるが、AMBAでは隣接国の居住者(国籍問わず)の観光目的の入国は認めている(2020年11月2日記事参照)。

保健省の11月29日時点の報告によると、全国の累計感染者数は141万8,807人、うち累計死者数は3万8,473人となった。フェルナンデス大統領は「ここ2週間でAMBAだけでなく全国でも新規感染者数が約30%減少し、改善が見られた」と、今回の緩和措置の理由を説明した。ワクチンについては「(2021年)1月から3月にかけて1,300万人、アルゼンチン人口の約25%に接種する計画であり、秋(日本の春)に向けて感染の第2波の可能性を抑制したい」と、今後の対策についても述べた。

ブエノスアイレス市はさらに緩和措置を進め、観光客の受け入れだけでなく(2020年11月26日記事参照)、これまで午前1時までとしていた飲食店の営業時間について、11月30日からは午前3時まで許可するとした。屋外での文化イベント開催に関しては、4立方メートルの対人距離を確保し、最大500人までとした。

写真 11月25日に死去したサッカー元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ氏のひつぎが大統領府で一般公開され、多くのファンが殺到し騒動となった大統領府前(11月26日、ジェトロ撮影)

11月25日に死去したサッカー元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ氏のひつぎが大統領府で一般公開され、多くのファンが殺到し騒動となった大統領府前(11月26日、ジェトロ撮影)

写真 マラドーナ氏の一般向け告別式で、ソーシャルディスタンスが保たれなかった長蛇の列(11月26日、ジェトロ撮影)

マラドーナ氏の一般向け告別式で、ソーシャルディスタンスが保たれなかった長蛇の列(11月26日、ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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